専用検診車での子どもの目の検診廃止へ 県眼科医会は廃止反対

茨城県が40年余り前から行ってきた、保育園や幼稚園に専用の検診車で出向いての子どもの目の検診が、今年度いっぱいで廃止されることが分かりました。
新年度からはそれぞれの市町村が3歳になる子どもを対象に専用の機器で検診を行う形にするということですが、県眼科医会は、「子どもの目の異常を見逃してしまうおそれがある」として廃止に反対しています。

県などによりますと、今年度で廃止されるのは、3歳から小学1年生を対象にした任意の視覚検診です。
法律で決められている3歳児健診でも目の検査を行いますが、その後にも検査を行うことで弱視や斜視といった目の異常の早期発見、治療につなげようと、昭和54年に始まりました。
県から委託を受けた県メディカルセンターが、保育園や幼稚園、小学校などからの依頼を受けて、専用の検診車で行っています。
この検診について県は、法律では乳幼児と児童の視覚検診は市町村が行うと位置づけられていることや、利用している保育園などの数が全体の1割程度であることなどから、今年度をもって廃止することを決めたとしています。
県によりますと、新年度からは、3歳児健診の際にそれぞれの市町村が検診車と同じ機器で目の検査を行い、県は市町村の担当者向けにマニュアルの作成や研修を行うということです。
県福祉部の柴義則次長は、「これまでの検診車による検診では欠席したら受けられなかったが、すべての市町村が同じ検査機器を購入する見通しが立っていて、これからはもれなく受けられるようになる」と話しています。
これに対して、県眼科医会の理事で筑波大学附属病院の森田由香医師は、これまでの検診では受けた子どもの2%ほどに治療が必要な弱視が見つかったとして、「検診車での検診を廃止すると、異常を見逃してしまうおそれがある。新たな検診の体制がきちんと整備されたことを確認してから廃止を決めるべきだ」と今年度いっぱいでの廃止に反対しています。

茨城県による「乳幼児視覚療育支援事業」は昭和54年に始まりました。
3歳から小学1年生を対象にした任意の検診となっていて、県から委託を受けた県メディカルセンターが、保育園や幼稚園、小学校などから依頼を受けると専用の検診車で出向き、遠視や近視、斜視について調べます。
県によりますと、法律で定められている市町村の3歳児健診に加えて任意での視覚検診を行っている都道府県は全国で茨城県のみだということです。
昨年度、検診車での視覚検診を依頼した保育園や幼稚園は97施設で施設全体の9.9%。
公立の小学校は134校で全体の29.3%でした。
検査を受けた子どもは合わせておよそ1万1200人でした。