江戸時代の茨城にUFOが? 「うつろ舟」伝説とは

未確認飛行物体、いわゆるUFOについて、アメリカ政府はおととし3月以降、アメリカ軍のパイロットなどから新たな目撃情報が366件報告されたと明らかにしました。
しかし、はるかにさかのぼること、江戸時代。茨城県には、空飛ぶ円盤にそっくりな「うつろ舟」が海岸に漂着したという伝説があるのです。水戸市で開かれている企画展を取材しました。

(取材 水戸放送局 清水嘉寛記者)

【企画展の会場に潜入】
企画展の会場でまず目に飛び込んできたのは、伝説をもとに「うつろ舟」を再現したというオブジェでした。茨城県出身の芸術家が手がけたもので、直径3メートル、高さ3メートル。針金と紙で作られたその姿は、まさにUFO。あるいは土鍋か丼です。

【うつろ舟伝説とは】
江戸時代のミステリーとも称される、「うつろ舟」伝説。
「南総里見八犬伝」で知られる滝沢馬琴らが書いた奇談集などによると、時は1803年。いまの茨城県神栖市周辺の海岸に直径およそ5点5メートルの円盤型の船が漂着しました。

引き上げてみると、中には見たこともない服装の女性が1人。ことばは通じません。女性は60センチ四方ほどの箱を抱え、ひとときも離さなかったといいます。

展示会には、当時の様子が記された書物や資料など、10点あまりが展示されています。
(訪れた人)
「UFOなのかなあ。潜水艦ではないだろうしねえ。資料もそろっているのだから、実在したのかもしれないと思えてきますね。」

【専門家「何らかの根拠が」】
来場していた「うつろ舟」研究の第一人者で岐阜大学名誉教授の田中嘉津夫さんに、思い切って聞いてみました。
「うつろ舟は、UFOなのでしょうか?」

(田中嘉津夫さん)
「うつろ舟と、アメリカのUFO伝説に関連性があるという証拠は残念ながら見つかっていません。しかし、当時描かれたうつろ舟は、だいたい同じ構造になっています。この話が作り話だったら、それぞれの作家が適当に絵を描くでしょう。うつろ舟の形には、何らかの根拠があったのではないか。」

うつろ舟がUFOなのかは、分かりません。しかし、当時、何らかのものが茨城の海岸に漂着し、世間を驚かせたのは本当なのかもしれません。

みなさんもぜひ、茨城県に伝わる江戸時代のミステリーに、思いをはせてみてはいかがでしょうか。企画展は3月19日まで水戸市の常陽史料館で開かれています。