茨城県の地価31年ぶり上昇 要因はTXと「割安感」

土地取引の目安になることしの地価調査が公表され、茨城県では31年ぶりに地価の平均がプラスに転じました。
しかも、県南部だけでなく、水戸市の商業地でも上昇したのです。その要因を取材しました。

(取材:NHK水戸放送局 安永龍平記者、浦林李紗記者)

【地価上昇は31年ぶり】
地価調査は、都道府県が毎年7月1日時点の住宅地や商業地、それに工業地の土地価格を調べるものです。

茨城県内では540地点が対象となり、住宅地と商業地、それに工業地などをあわせた地価の平均は、去年より0点1%上昇しました。県内の地価が上昇したのは、31年ぶりです。

用途別では、住宅地の平均価格は1平方メートルあたり3万2700円でした。住宅地は平成4年から30年連続で下落していましたが、ことしは横ばいに転じました。

商業地の平均価格は6万6300円で、去年より0点3%上昇しました。商業地も平成4年から下落が続いていましたが、31年ぶりにプラスに転じました。

上昇の主な要因について、調査に携わった不動産鑑定士は次のように分析しています。

(不動産鑑定士 羽場睦夫さん)
「地価を押し上げた要因は、県南地区です。住宅地、商業地に関しては、つくばエクスプレス沿線の地価上昇がすべてに反映している。茨城県以外から当該地域に住宅地を求めている方がかなり多くいて、その方々の影響で地価が上昇しているとみています。」

【「東京圏」で上昇率上位独占!つくばみらい市】
羽場さんのことばどおり、茨城県内の住宅地で上昇率が高かった1位から15位までは、すべて、つくばエクスプレス沿線でした。

なかでもつくばみらい市は、東京を中心とした「東京圏」で見ても、住宅地の上昇率の上位1、2、3位を独占しています。なかでも上昇率1位のつくばみらい市陽光台4丁目は、つくばエクスプレスのみらい平駅近くで、去年より10点8%と大幅に上昇しました。

つくばみらい市内の100区画ほどある住宅分譲地では、去年の販売開始以降、ほぼ1年で8割以上で契約が成立しています。

みらい平駅から都内の秋葉原駅までは40分程度というアクセスの良さや、都心部の物件に比べて敷地や間取りに余裕があることなどから、特に子育て世代に人気が高いということです。

千葉県流山市から家族3人で引っ越してくる予定だという30代の男性は、「都内に近ければ近いほど土地の値段が上がってしまう。2歳の娘が走り回れるような庭をつくることができる広さをとれるのが、魅力的でした」と話していました。

この分譲地の販売を行っている大和ハウス工業の担当者は、「首都圏の通勤範囲の中でみても、価格や土地の広さ、建物のボリュームが充実していて、選ばれる割合が多いのではないか」としています。

【若い世代を呼び込め】
つくばみらい市は、市民およそ300人の協力を得て市内での暮らしを紹介する動画やポスターを作成するなど、若い世代の呼び込みに力を入れてきました。

転入してきた人たちに住み続けてもらおうと、市民サービスの充実にも取り組んでいます。みらい平駅前には、子育てに関する相談がワンストップでできる市民センターが開設されました。

去年9月からことし8月末までの1年間につくばみらい市に新たに転入した人は2800人余りと、人口のおよそ5%を占め、このうち20代から40代が7割です。
市は、移住促進の取り組みに手応えを感じています。

(つくばみらい市 小田川浩市長)
 「動画やポスターでつくばみらい市の良さを広げていきたい。定住を中心としたまちづくりには、教育・子育て施策は欠かせないので、力を入れていきたい。」

【14年ぶり 水戸市商業地の地価が上昇】
今回の地価調査では、水戸市でも動きがありました。14年ぶりに、中心市街地の商業地の価格が上昇したのです。

水戸市の商業地で地価が上昇したのは、水戸市宮町1丁目と、水戸市泉町1丁目の2地点です。

このうち宮町1丁目は、JR水戸駅の南口を出てすぐの場所で、価格は1平方メートルあたり21万2000円と、去年より1点9%上昇しました。上昇率は、県内の商業地の中で10番目でした。

水戸駅周辺では、北口にあった商業施設「リヴィン水戸店」の跡地に20階建てのマンションと4階建てのオフィスなどが入るビルの建設計画が進んでいます。

一方、同じく上昇した泉町1丁目は、来年7月にオープン予定の新市民会館に隣接する場所です。価格は11万5000円と、去年より0点9%上昇しました。上昇率は県内で12番目でした。

新市民会館のほぼ向かい側では、古くからあった複数のビルが取り壊されて更地になっています。この場所にも、マンションが建つ予定です。

水戸市の中心市街地ではこのように、マンションの建設計画が増加しています。今後人口が増えると見込まれることや、老朽化したビルが解体されて町並みが変化し、集客力が高まりつつあることから、マンションが建築できるような一定規模以上の土地の需要が高まっているということです。

(不動産鑑定士 羽場睦夫さん)
「水戸市では今まで地価が下落していたため、開発業者も割安感を感じていて、積極的に土地を探す動きがあります。行政もまちづくりに力を入れていて、住みやすいまちになりつつある。今後、徐々に地価が回復するのではないかと期待しています」

31年ぶりにプラスに転じた、茨城県の地価。人口の減少や高齢化が著しい県北や県央などでもプラスに転じていくのか。今後も取材を進めていきます。