大洲市の山火事 消防ヘリ隊員が証言「厳しい活動だった」

先月、愛媛県大洲市の山火事が鎮火してから8日で1か月です。
当時、応援要請を受けて現地で消火活動にあたった徳島県の消防防災ヘリコプターの隊員がNHKの取材に応じ、近くに給水できる場所がなく、散水に時間がかかるなど困難な活動状況だったことを明らかにしました。
先月1日、愛媛県大洲市で発生した山火事では、火が消し止められるまでに8日間かかり、山林13ヘクタール余りが焼けました。
この山火事では、愛媛県の要請を受けて、徳島県の消防防災ヘリが3日間、延焼阻止のための消火活動にあたりました。
この現場で当時、上空から散水にあたった消防防災航空隊の渡井口和豪副隊長が、NHKの取材に応じました。
当時の状況について、消防防災ヘリに給水する際、山のふもとに「肱川」が流れていますが、川と海水が混ざる「汽水域」にあたり、森林が枯れる可能性があるため、愛媛県側から水をくまないようにする方針が示されました。
このため当初、現場からおよそ20キロ離れた鹿野川ダムから給水していましたが、消防防災ヘリの燃料では、1回のフライトで2回しか散水できず、活動は困難を極めたということです。
これについて渡井口副隊長は「事前情報で給水ポイントが遠く航空機の活動可能時間を考えると厳しい活動を想定していた」と振り返りました。
その後、より近い場所で給水できるよう要請し、現場から10キロほどの内子運動公園内の野球場で、地上の消防車から水をとる方法に変更され、距離が短縮されことで、1回のフライトで散水できる回数は2倍に増え、延焼阻止につながりました。
渡井口副隊長は「厳しい活動だった。すべての災害を想定内に収めるのは難しいが、今回の活動も教訓に平時に事前準備を行い、関係機関と連携を深めることで、立ち向かっていきたい」と話していました。