来年秋の朝ドラ「ばけばけ」モデルは小泉八雲の妻 セツに決定

来年の秋から放送されるNHKの連続テレビ小説は、島根県ゆかりの明治時代の作家、ラフカディオ・ハーン=小泉八雲の妻、小泉セツをモデルにした「ばけばけ」に決まりました。

113作目となる連続テレビ小説「ばけばけ」は「怪談」などの著作で知られ、日本の伝統や文化を海外に紹介した明治時代の作家、ラフカディオ・ハーン=小泉八雲の妻の小泉セツをモデルにしたドラマです。
武士の時代が終わった明治初期、貧しい暮らしを強いられこの世をうらめしく思っていた松江藩の没落士族の娘が、世界を転々とした末に日本へたどりついた異国人と出会います。
急速に西洋化が進み人々の暮らしや価値観が「化けて」いく明治の日本で、夫婦は、埋もれてきた名もなき人々の心の物語に光をあてて語り紡ぎ、うらめしかった世界はかけがえのないすばらしいものに「化けて」いきます。
脚本を担当するのはEテレ「みいつけた!」などで知られる、ふじきみつ彦さんです。
ドラマの舞台はヒロインが生まれ育つ島根県から、熊本など各地に移り変わっていきます。
島根県を主な舞台にした連続テレビ小説は、2008年度に放送された「だんだん」と、2010年度に放送された「ゲゲゲの女房」に続いて3回目です。
連続テレビ小説「ばけばけ」は来年の春に撮影が始まり、秋から放送される予定です。

小泉セツのひ孫で、松江市にある小泉八雲記念館の館長の小泉凡さんは、「セツはかなりの赤貧も経験したが、最後は幸せな結婚生活をすることができ、波乱万丈な人生をすごした。かなりいろいろなことを経験した人生なので、セツの生き方を前向きにとらえていただけたらうれしい」と話していました。
その上で、「ばけばけ」というタイトルについて「聞いただけではわからないが八雲が生涯にわたってお化けを探究したこともあるし、セツが次々と化けていったこともある。2人のおもしろい人生が想像できていい」と期待を語りました。
また、記念館にはセツが八雲との会話のために作ったオリジナルの英単語帳などゆかりの品々が展示されていて、小泉祥子学芸企画ディレクターはセツについて「小さいころから物語の蓄積があり、八雲の片腕となって知っている限り話を聞かせた。『怪談』の創作にはセツの力が不可欠だったので私たちは“最強のアシスタント”と呼んでいる」と、八雲の作品づくりにも大きな影響を与えたと指摘しました。

東京から小泉八雲記念館を訪れた男性は「セツという人がいたとここで知ったので、ドラマになると聞いて興味深いです。期待しています」と話していました。
また、記念館の向かいにある土産物店の社長は「以前、放送された『だんだん』の時は出演者も訪れてくれて、客も増えました。ドラマを見て来たという人が今でも訪れるので、“朝ドラ効果”はすごいです。これを機にさらに弾みがつくと期待しています」と話していました。

松江市の上定市長は、「これまで関係者と協力して要望活動をしてきたので、実現にいたり大変うれしく思っている。松江の魅力を世界に広める機会になることを期待している」と喜びを語りました。
その上で、「ドラマの放送に向けて市民みんなで応援していくような機運を高め、今後の観光振興を図っていきたい」と述べました。