国内初の生体肝移植実施 島根大学名誉教授 永末直文さん死去

平成元年、当時の島根医科大学で、健康な人の肝臓の一部を移植する生体肝移植を国内で初めて行った島根大学名誉教授の永末直文さんが亡くなりました。
81歳でした。

福岡県で生まれた永末さんは、九州大学医学部を卒業後、当時の島根医科大学の助教授に就任しました。
そして、平成元年11月、「先天性胆道閉鎖症」という肝臓の病気でいつ亡くなってもおかしくない状態にあった1歳の男の子に、父親の肝臓の一部を移植する生体肝移植を行いました。
男の子は、一時は、一般病棟に移れるまで回復しましたが、その後、体調を崩し、手術から285日で亡くなりました。
国内で初めて、世界でも4例目のこの手術は、日本の移植医療の転換点になり、今では、毎年400件前後、合わせて1万件以上の肝移植が行われ、欠かせない医療の1つとして根づいています。
一方、健康な人の体を傷つける生体肝移植をめぐっては、当時、倫理的な観点から大きな議論になり、島根大学では、これ以降、肝移植は行われていませんでしたが、ことし35年ぶりの再開を目指し準備が進められています。
永末さんは、島根医科大学の教授や合併後の島根大学の医学部長などを歴任し、平成20年に名誉教授になりました。
その後は、福岡県の病院で院長を務め、去年まで現場で診察にあたっていたということです。
関係者によりますと、永末さんは、11日、亡くなったということです。
81歳でした。