忘年会シーズン到来! コロナ5類移行でどうなる?

新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行してから初めての忘年会シーズンを迎え、松江市にある飲食店では去年よりも団体客の予約が増えるなど、売り上げの回復に期待を寄せています。

JR松江駅の近くにある飲食店では、11月から忘年会の予約が増え始めていて、午後5時の開店前から予約の電話が相次いでいるほか、多い日には団体客を中心におよそ230人が訪れるということです。
店によりますと、この忘年会シーズンの予約は去年より2割ほど増えているほか、5類移行前は感染対策のため10人ほどでの利用が多かったということですが、今は30人から80人ほどに増えているということです。
一方、急激な需要回復に人手の確保が追いつかないため、グループのほかの店舗から応援要請が入ることもあるほか、客が混み始める午後7時以降に人員を確保するためアルバイトなどの勤務の調整を細かく行っているということです。
「炉端かば松江駅前店」の近藤祐太店長は「最近、会社の宴会や二次会での利用も増えて売り上げが回復してきた。人手不足の心配はあるが、にぎわってきてうれしいし、山陰の食の魅力も多くの人に伝えたい」と5類移行後初めてとなる忘年会シーズンに期待を寄せていました。

【忘年会やる?やらない?】
シーズンを迎えている忘年会について、ことしは実施するかどうかを松江市で尋ねたところ、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行して行動制限がなくなったことから久しぶりの開催を楽しみにしている声が聞かれた一方で、「コロナ禍を経験して気心が知れている人とだけ少人数で行いたい」と従来の宴会を敬遠する声も聞かれました。
36歳の男性は「コロナ禍では忘年会がなかった。5類に移行したことしは空気感も全然違うし、せっかくの機会なので参加して会社の人たちと盛り上がりたい」と話し、また、27歳の男性は「新型コロナの感染拡大が始まったころに入社して忘年会を知らない世代なので、仕事でしか会わない人たちとプライベートな話もできて楽しそうなので参加したい」と忘年会への期待を口にする人が多くいました。
その一方で38歳の男性は「4年ぶりに会社で忘年会を開くが出欠を確認していると、参加しない人が多い。一緒にお酒を飲んで仲良くなるのが昔ながらのコミュニケーションだと思っていたのでさみしい」と残念そうに話していました。
また、45歳の女性は「以前は忘年会をやらなくてはいけない雰囲気があったが、コロナ禍を経験して気心が知れている人とだけ行こうと決めた。職場の忘年会には参加しません」と、コロナ禍で得た新しいライフスタイルから従来の宴会を敬遠する声も聞かれました。

【岐路に立つ『飲みニケーション』】
新型コロナが5類に移行してから初めて迎える年末年始にあわせ、民間の信用調査会社が忘年会や新年会を実施する企業を全国で調べたところ、去年より15ポイント多い、54%余りの企業が実施を予定していることが分かりました。
実施しない企業のうち、およそ半数がコロナ禍をきっかけにやめていて、新型コロナは「忘年会・新年会」にも影響したことをうかがわせます。
「東京商工リサーチ」はことし10月、全国の企業を対象にインターネットで忘年会や新年会についてのアンケート調査を行い、4747社から回答を得ました。
それによりますと、「コロナ禍前も今回も実施する」は36.2%、「コロナ禍前は実施していなかったが、今回は実施する」は18.2%と、あわせて54.4%の企業が今シーズン「実施する」と答え、去年より15.8ポイント増加しました。
一方、あわせて45.5%の企業が「実施しない」と回答し、このうちのおよそ半分が「コロナ禍前は実施していたが今回は実施しない」としていて、調査した東京商工リサーチは「コロナ禍を経て、『忘年会・新年会離れ』が徐々に進んでいることが明らかになった」と分析しています。
また、実施しない理由については「ニーズが高くないため」が53.8%で最も多く、次いで「参加に抵抗感を示す従業員が増えたため」が42.2%でした。
東京商工リサーチは「忘年会・新年会を親睦行事とするのは早晩、限界を迎えそうで、『飲みニケーション』は岐路に立っている。飲食店なども変化を受け止め、新たな需要を呼び込む努力も求められている」と指摘しています。