続くガソリン価格高騰 弁当宅配業者は苦境に

ガソリン価格の高止まりが続く中、高齢者向けに弁当の配達を行う業者からは原材料費の高騰に加えてガソリン代が重荷になって、このままでは弁当の値上げに踏み切らざるを得ないという声が聞かれます。

松江市で20年間にわたって弁当の配達を行ってきた「モルツウェル」は、市内に住んでいる高齢者を中心に1日250食を車で届けていて、多いときは1台あたりの走行距離が1日で100キロに達することもあるといいます。
ガソリン価格が高騰する中、ことし7月時点の燃料費は去年の同じ月に比べて全体で12パーセントほど上昇し、経営を圧迫しているということです。
配達を担当している1人、堀江俊助さんは「弁当の配達業はそもそも単価の高い事業ではないためガソリン代が高くなると苦しくなりますが、私たちの弁当を待っている方もいるので、なんとか頑張りたいです」と力を込めます。
その堀江さんのことば通り、この業者では高齢者に弁当を届け続けるため燃料費を節約しようと工夫をこらしています。
その1つが効率的な走行ルートの作成です。
以前は配達を担当するドライバーに担当エリア内を自由に届けてもらっていましたが、いまは配達先を把握した上で効率的に回れるルートをあらかじめ作成して、それに沿って届けるようにしました。
ルートを効率的にしたことで5台あった車を1台減らすことができ、こうした取り組みでガソリン代の節約につなげています。
この業者は政府の補助金が年内は続けられることにひとまず安心したといいますが、先行きが見通せないことに不安を募らせていて、このままガソリン価格の高止まりが続くようであれば、弁当の値上げに踏み切らざるを得なくなると表情を曇らせます。
「モルツウェル」の青山伊津子さんは、「物価やガソリン価格の高騰でとても苦しい状況が続いているが、無駄を省くよう努力してこの窮地を乗り越えていきたい」と話していました。