“懲戒処分は不当” 私立高校教員13人が学校法人を提訴

松江市の私立高校が進める学科の新設をめぐって、反対する教員が保護者に文書を配布して懲戒処分を受けたのは不当だとして、教員13人が高校を運営する学校法人に対して処分の無効と損害賠償を求める訴えを起こしました。

訴えを起こしたのは、松江市にある学校法人「永島学園」が運営する私立・松江西高校の教員13人です。
松江西高校には現在、進学を目指す普通科と総合ビジネス科の2つの学科がありますが、教員は学校法人側から少子化に対応するため来年度から就職に特化する「総合学科」を新設して、生徒募集をこの学科のみにする方針を示されたということです。
在校生たちのカリキュラムも変更される可能性があるとして、ことし3月の説明会を前に教員が保護者に出席を促す文書を配布したところ、学校法人側は「文書を配布して学校を混乱に陥れた」などとして教員13人を停職や減給などの懲戒処分としました。
こうした処分を不当として教員たちは学校法人に対して処分の無効と1500万円余りの損害賠償を求めています。
記者会見した教員の1人は「学校法人側の考えにすべて反対というわけではないが、学科新設の説明が急でトップダウンの進め方は改めるべきだ。このままだと生徒のためにならず、状況も改善しないため、提訴に踏み切った」と話しています。

提訴を受けて、松江西高校を運営する学校法人「永島学園」の永島一雄理事長は、NHKの取材に対し「少子化が進むなか、ほかの県立高校などと学力で競っても生徒を集めることは難しく、ほかの学校がやっていないことを進めていく必要がある」としたうえで、教員の文書配布は「就業規則違反であり粛々と争っていく」としています。
そのうえで、「総合学科を新設しても在校生の現在のカリキュラムには影響しない」と話しています。
永島理事長によりますと、新設を目指す「総合学科」ではアルバイトとインターンを掛け合わせた「バイターン」という制度を設け生徒たちは週1回地元の企業で就業経験を積み、給料を受け取りながら単位も取得できるようにしたいとしています。
背景には地元企業の人手不足と高校卒業後の人材流出があるとしていて、すでに地元の中小企業70社ほどから生徒受け入れの了承を得ているということで、学校法人側は就職に特化することで高校の差別化と地元の人材確保につなげていきたい考えです。