一畑百貨店が閉店へ 市民・従業員「大変ショック」

島根県内唯一のデパートで、松江市にある「一畑百貨店」が新型コロナの影響による業績の悪化などを理由に、来年1月で閉店することが決まりました。会社では、行政の支援も受けながら従業員の再就職を支援することにしています。

昭和33年、松江市殿町に開店した「一畑百貨店」は、平成10年に現在の松江駅前に移転し、県内唯一のデパートとして長年、市民に親しまれてきました。ピーク時の売り上げは100億円を超えましたが、近年は、大型ショッピングモールの出店や新型コロナの影響などで年々売り上げが減少し、ことし3月期には43億円にまで落ち込み、最終赤字に陥っていました。

会社では、業績の回復に向け、新たなテナントを誘致したり、経費を見直して支出を抑えたりするなど、経営を続ける道を模索してきたということですが、「経営改善は見込めない」として来年1月14日で営業を終了し、閉店することを決めたということです。会社によりますと118人の従業員については、一部を除き1月末か2月中旬に解雇する予定ですが、親会社の「一畑電気鉄道」を中心に、同じ「一畑グループ」のほかの会社への再就職を進めるほか、行政の支援も受けながら再就職を支援することにしています。

【従業員「まさか。大変ショックだ」】
「一畑百貨店」の閉店が決まったことを受け、現在、再雇用で働いているという従業員の70代の男性は、「きょう(13日)初めて社長から話を聞いた。社長からは、『黒字経営に向けていろいろと努力したが、改善することができなかった』とか、『しっかりと残務整理などをして、きっちり対応する』などと説明があった」と話していました。男性はおよそ18年、百貨店で働いてきたということで、「まさかこういう風に閉店するとは思わなかった。寂しいというか大変ショックだ」と肩を落としていました。

【専務「大変申し訳ない気持ち」】
一畑百貨店の井上智弘専務は、「お客様には長い間ご愛好いただいたので、大変申し訳ない気持ちでいっぱいだ。百貨店にしかないブランドの展開や、百貨店の役割である物産展などもできなくなるのは残念だ。従業員にも申し訳なく、グループの助けもいただきながら再就職の支援に取り組んでいく」とコメントしています。

【知事・松江市長もコメント】
丸山知事は「昭和33年の開業以来、豊富で魅力的な品ぞろえにより長年、県民に親しまれてきたが、県内唯一の百貨店が姿を消すことになり、残念に感じている。松江市をはじめ広く周辺市町の雇用を支えており、取引事業者なども含め、地域経済に大きな影響が出ることも懸念されると考えている。松江市と連携し、一畑グループから示される今後の方針や関係事業者への影響などの情報収集に努め、労働局など関係機関とともに必要な対策を行っていく」とするコメントを発表しました。

松江市の上定市長は「松江市の中心部にあって、市民の身近な存在として愛され、長年にわたって地域の発展に大きな役割を果たしてきた一畑百貨店が閉店することは大変残念だ。また、同社の取引先をはじめとする地域経済への影響は小さくないものと捉えている。今後、テナントを含む店舗の取り扱い、従業員の雇用確保、周辺のまちづくりへの影響などに関して一畑グループ、国、県などの関係者と緊密に連携し、必要な対策を図っていく」とするコメントを発表しました。