洋酒と島根食材 合う?合わない?

新型コロナの水際対策の大幅緩和などによって外国人観光客の増加が見込まれています。
こうした中で、ワインなどの洋酒に合う島根の食材を見つけて観光の起爆剤にしようという試みが松江市で始まりました。
果たして理想の組み合わせは見つかったのでしょうか。

会場に並べられたのはワインや、ワインを蒸留したコニャックなど外国人になじみの深い酒。
インバウンドが回復の兆しを見せる中でこうした洋酒に島根の食材を合わせられないか、飲食店や行政の関係者など30人あまりが松江市の会場に集まってみずからの舌で確かめました。
提供されたのは乾燥させてあぶった板わかめ。
そして、特産の海産物で作ったちくわや揚げ物など、島根のご当地グルメは6種類。
実際に味わった人たちからは「おいしいです。意外性もあって楽しいです」とか、「日本の料理イコール日本酒だけじゃない可能性というのはすごくあるなと思いました」などという声が聞かれました。
今回のイベントを開いたのは、ワインなどフランスの食文化の発信をしている団体。
実際にフランスからはワインやコニャックなどを醸造する職人も訪れ、島根の食材との相性を確かめていました。
例えば、コニャックと益田市のメロンを合わせた場合、講師を務めたフランスワイン文化教育協会の葉志堅主席は、「メロンは甘いので甘いものはコニャックと合いますが、赤ワインとは合いません」などと述べ、食材によって酒の合わせ方が異なることを説明していました。
そのコニャックの味わいに可能性を感じたのが、明治時代から6代続く松江市の老舗和菓子メーカーの社長、山口周平さんです。
山口社長は、「インバウンドが今後もっと増えていくと思うが和菓子も含めた島根の食材とお酒とのコラボレーションというものが可能性があるのかどうなのか、1番探りたい点でした」と期待を寄せての参加でした。
かねてから和菓子と洋酒の組み合わせを模索してきたという山口さん。
コロナ禍が経営にも影響を与える中、コロナが落ち着いた後には洋酒と和菓子を組み合わせて外国などから観光客を呼び込めないかと考えていたのです。
そこで、今回の試食会にあんこがたっぷりの和菓子や、100年の歴史を持つ自慢の和菓子を持ち込んで試してもらいました。
和菓子の甘さを包み込むような、コニャックの香りと味わいが口の中に広がり、フランスから初来日したコニャックなどの醸造家、エマニュエル・フリエさんは、「コニャックなどの洋酒は多様性のあるお酒なので、いろんな食材に合わせることができると改めて感じた」と、また、会を開いたフランスワイン文化教育協会の葉主席は「ワインなどと合わせることによって島根の食材の良さが海外にも伝わると思う」と話していました。
山口さんは、洋酒の専門知識を学んで外国人観光客に喜ばれる商品作りに役立てたいと考えていて、「和菓子とお酒がどう合うかっていうのを今後研究していきたい。島根の食材もポテンシャルが非常に高いのでそれと合う洋酒は必ず存在すると思う。今後こういった機会を通じて和菓子の魅力をもっともっと世界に発信していくことで山陰を訪れてくださる外国の方も増えていくことを願っております」と話していました。
地元の食とさまざまな酒の組み合わせによって観光客を呼び込む方法はさらに広がっていきそうです。