“半数が脱フレイル” 驚異の訓練に密着 安来
コロナ禍での外出自粛による運動不足などが原因で、介護が必要な一歩手前の状態、「フレイル」の高齢者が増えていると指摘されるなか、安来市が今年度、高齢者を対象に、“ある訓練”を行ったところ、フレイルやその疑いがある人が半減したことが分かりました。
コロナ禍での外出自粛が高齢者の生活に与える影響が懸念されるなか、安来市の地域包括支援センターは、ことし5月から11月にかけ、伯太地区と広瀬地区でそれぞれ3か月、合わせて14人の高齢者に対し、体の機能を回復させる訓練を実施しました。
訓練は週1回のペースで、専属の理学療法士や言語聴覚士などが指導し、体幹の筋肉を鍛え、転倒を防ぐ体づくりのほか、食べ物を飲み込む口やのどの筋肉の強化などを図りました。
参加者の一人で、フレイルと判断された77歳の小林弘子さんは、コロナ禍で外出の機会が減るなか、高齢の母親の介護も加わって左足に痛みを感じるようになっていました。
しかし、訓練後には、これまでは必要としていたつえを使わなくても歩けるようになり、5メートルの歩行タイムは5秒以上速くなりました。
劇的な回復をみせ、“脱フレイル”を果たしました。
小林さんは、「体が軽くなりました。すごい効果だと思います。あのままだったら、歩けなくなっていたかもしれない」と話していました。
安来市の訓練では、参加者のうち、フレイルやその疑いがある人は、8人から4人に半減したということで、市は、来年度もこうした訓練を継続する方針です。
一方、安来市では、訓練終了後も週1回の体操教室を開催するなど、訓練で回復した体の機能を低下させないよう、アフターフォローにも力を入れています。
安来市立病院リハビリテーション室の廣江勝室長は、「どこまで持続できるかということが重要になる。運動の習慣がつけばつくほどフレイルに陥る高齢者も少なくなるのではないかと思う」と話していました。