“サウナ関連商品開発で地域の活性化を” 支援事業の説明会

全国有数の温泉地がある群馬県では、併設されることも多いサウナを通じて地元の産業を盛り上げようと、サウナに関連した商品開発を支援する事業を始めていて、4日、前橋市で説明会が開かれました。

草津温泉や伊香保温泉など多くの温泉地がある群馬県は、温泉と併設されることも多いサウナやスパを地域の活性化につなげようと、サウナなどに関連した商品開発を支援する事業を昨年度から始めています。
前橋市では4日、事業の説明会が開かれ、関心を持つ企業の担当者やサウナの愛好家など、およそ40人が参加しました。
説明会ではこの事業を通じ、昨年度、開発した商品の事例が報告され、担当者は群馬県で生産されたシルクを使った館内着や、県内の企業が製造するウレタンを用いたサウナマットなどを紹介していました。
この事業では参加者たちがチームを組み、県や専門家の支援を受けながら来年3月までに新商品の開発を行う計画です。
このあと、参加者たちによる交流会が行われ、名刺を渡したり、意見交換を行ったりして、今後の事業などについて話し合っていました。
県は今後、参加者を対象にした専門家のセミナーを開催するなどして、商品開発や情報発信を支援していくことにしています。
説明会に参加した服飾関連の製造業の担当者は「社内にサウナの関連商品を扱う部署もあるが、自社だけの開発には限界があるので、ほかの会社と積極的に情報交換していきたい」と話していました。

【桐生のサウナ施設】
JR桐生駅前にことし4月にオープンしたサウナ施設です。
温度を上げるために使うストーブのまきは地元、桐生産の木材から作られたものを使用しています。
SNSで情報発信し、施設をPRしてきましたが、特に20代や30代の比較的、若い男性の利用者が多く、オープン以降、利用者の数は当初の予想を上回っているということです。
そのため、さらに多くの人にサウナを利用してもらおうと、先月からは、定休日をなくして営業しています。
3日、オープンとともに訪れた30代の男性は「月に1、2回は利用している。群馬にはこのようなサウナ施設はまだ少ないと思うので、もっと増えてほしい」と話していました。
予想を上回る利用状況に、この施設ではサウナの事業としての可能性に手応えを感じています。
サウナ施設の今氏一路代表は「桐生だけでなく近隣のエリアからも来てくれているので、群馬や北関東ではかなり需要があると感じている。2店舗目も出店できないか検討を始めている」と話していました。

【知事は】
県がサウナ関連の商品開発を支援していることについて、山本知事は4日の記者会見で「群馬県のキラーコンテンツは『温泉』。『温泉』と『サウナ』を結びつけることができるのは、群馬県ぐらいだ。群馬県が推進する『リトリート』にもつながるので、時宜にかなった取り組みだと思う」と述べました。
そのうえで「群馬県のコンセプトに合うような事業があれば積極的にやっていきたい」と述べ、今後もサウナに関わる取り組みを進めていく考えを強調しました。

【サウナ飯】
サウナに関連する事業の中で、注目されている商品の1つがサウナの後に食べるご飯、いわゆる「サウナ飯」です。
群馬県高崎市にあるカフェ店では昨年度、県の支援事業に参加し、ほかの企業などとチームを作り、「サウナ飯」の開発に取り組みました。
そして、完成したのが特製のタイ料理、「ガパオライス」です。
開発のメンバーから「サウナで大量の汗を出したあとは刺激的なものが食べたくなる」などという意見もあり、適度に刺激のある、スパイシーな味付けにしたということです。
また、サウナ後の腸内環境を整えてもらおうと、食物繊維が豊富なごぼうやきのこなどのほか、疲労回復に効果的とされる豚肉を使っていて、いずれも県産食材が中心です。
このチームではガパオライスのほか、サウナ前に栄養補給するための野菜スープも開発していて、ともに冷凍食品などとして、先月からは県内外のスーパーや道の駅などで販売を始めています。
メニューを考案したカフェ店の岩脇真悟さんは「サウナで心を整えたあと、食事で体の中を整えるというコンセプトで作った。群馬は温泉やサウナがたくさんあり、県内だけでも販路はたくさんある。いずれ全国のサウナで群馬の食材を使った商品が扱われるようにしたい」と話していました。

【専門家は】
4日の説明会でサウナの専門家として講演し、長野県でサウナ施設を経営する岡本共平さんは群馬県の魅力として「水がきれいなこと」を挙げた上で、「サウナには水風呂が不可欠なので相性はかなりいい。また、サウナと一緒に温泉があったほうが効果的なので、温泉が湧くという地域性はとても強い」と語りました。
また、現在のサウナ業界については「ブームはピークアウトしたように思う」と述べる一方で、「各地では時間をかけても行きたいと思うようなサウナが増えていて、観光につながっている事例も多い」と話しています。
その上で、サウナに関連した事業の展開については「0から何か始めるよりはもともとある地域の特性を生かし、群馬ならではのものをサウナにひも付けて展開することが有効的だ」と指摘しています。