世界遺産10年 入場者数低迷の富岡製糸場 デジタルで誘客へ

群馬県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」が、世界遺産に登録されて25日で10年です。
入場者数の低迷が大きな課題となるなか、デジタル技術を活用し、誘客を図る施設もあります。

「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録から25日で10年となりますが、このうち「富岡製糸場」は昨年度の入場者数が36万7466人で、世界遺産に登録された2014年度と比べ、およそ73%減少するなど、入場者数の低迷が課題となっています。
こうしたなか、構成資産の1つ、群馬県藤岡市にある明治時代の養蚕技術の教育拠点、「高山社跡」ではデジタル技術を使った誘客の取り組みが行われています。
母屋は老朽化のため、去年解体し、修復工事を進めていますが、3DやVRを活用して現在は見られない母屋を再現し、訪れた人たちがタブレット端末などを使い、立体的に見ることができるようにしています。
また、藤岡市はインターネット上に「デジタル博物館」として「高山社跡」に関する資料なども掲載していて、ことし4月からは、地元で絹の取り引きが行われていた歴史などを紹介しています。
ことし8月ごろから始まる「高山社跡」の母屋の復元の様子は一般に公開する予定で、藤岡市の軽部達也文化財統括官は「デジタルを使った映像を見ながら、建物が復元していく様子を同時に楽しんでもらいたい」と話していました。

世界遺産の「富岡製糸場と絹産業遺産群」を構成する4つの資産の入場者数は、登録された10年前と比べると大幅に減少しています。
このうち、富岡市の「富岡製糸場」は昨年度の入場者数が36万7466人で、世界遺産に登録された2014年度と比べておよそ73%減少しています。
また、伊勢崎市の「田島弥平旧宅」は、昨年度の入場者数が1万1045人で、およそ72%減少、下仁田町の「荒船風穴」は昨年度の入場者数が1万703人で、およそ54%減少、藤岡市の「高山社跡」は昨年度の入場者数が9790人で、およそ82%減少しています。