赤字のJR吾妻線の一部区間のあり方を沿線自治体などが初協議

年間4億円を超える赤字が課題となっている群馬県のJR吾妻線の一部区間のあり方を沿線の自治体などが協議する初めての会合が開かれ、今後、利用者の多くを占める高校生などにアンケートを行い実態を把握した上で、対応を検討することになりました。

協議の対象となっているのは、群馬県のJR吾妻線の区間のうち長野原町の「長野原草津口駅」と嬬恋村の「大前駅」の間のおよそ13キロの区間で、2022年度には4億6000万円あまりの赤字となっています。
23日、長野原町役場で開かれた初会合には、2つの自治体とJR東日本などの担当者が出席しました。
冒頭以外、非公開でおよそ1時間行われた会合では、現在の利用状況などを共有したうえで、今後、この区間の利用客のおよそ8割を占める高校生とその家族などに、利用実態についてアンケートを行う方針などが話し合われたということです。
次の会議の日程は未定ですが、今後も協議を続けるとしています。
終了後の記者会見で長野原町未来ビジョン推進課の佐藤忍課長は「会議で議論されることが地域の活性化に結びつくというスタンスで取り組んでいきたい」と話しました。
また、嬬恋村未来創造課の熊川明弘課長は「村は存続を希望しているが、長野原町と協力して利便性が向上する交通体系を検討したい」と話していました。

会議の座長を務めることになった交通政策に詳しい前橋工科大学の吉田樹特任教授は記者会見で、「今の鉄道がこの地域の役に十分、立てていないのではないかという考えがある。この地域にどういう役割を果たしているのかを検証し、最適なあり方を検討していく」と話していました。

また、山本知事は記者会見で「地域にとって最適な交通サービスを選択するために関係者で議論を行うものだ。大事なことは、地域住民の移動に便利で快適なものにすることだと認識している。その認識のもとで県としては中立的な立場で調整に努めていきたい」と述べました。
一方、県との新たな取り組みについて発表するために会見に同席していたJR東日本高崎支社の樋口達夫支社長は「関係者に集まってもらい、議論が始まることを大変うれしく思っている。これからの未来に向けてよい議論ができればいいと思っている」と述べました。