従来より高い警戒呼びかけ「熱中症特別警戒アラート」運用開始

毎年、熱中症で搬送される人が相次ぐ中、過去に例のない暑さが予想される場合にこれまでより一段高い警戒を呼びかける「熱中症特別警戒アラート」の運用が24日から新たに始まりました。
専門家は暑さに体が慣れていないこの時期は熱中症のリスクが高まるとして、注意を呼びかけています。

現在、環境省と気象庁は、温度や湿度などをもとに算出される暑さ指数を使って、「熱中症警戒アラート」を発表しています。
ただ、地球温暖化などが進むと極端な高温となることも見込まれるとして、24日からこれまでより一段高い警戒を呼びかける「熱中症特別警戒アラート」の運用が始まりました。
従来の警戒アラートは暑さ指数の予測値が県内の観測地点で1か所でも33以上になった場合に発表しましたが、特別警戒アラートは県内のすべての地点で35以上となった場合に発表します。
ただ、これまでに特別警戒アラートの該当となる暑さとなった事例はありません。
一方、気象庁が発表した来月から3か月間の長期予報によりますと、来月から7月にかけて全国的に気温が平年より高くなる見込みです。
気温が高くなる条件が重なれば来月や6月でも30度以上の真夏日となる可能性があるとして、熱中症への早めの対策を呼びかけています。

熱中症対策に詳しい群馬大学大学院の鯉淵典之教授によりますと、朝晩や日によって寒暖差の大きいこの時期は体が暑さに慣れておらず体温調節が難しいため、気温が低くても湿度が高い日などは熱中症のリスクが高まるということです。
鯉淵教授は「日の当たる環境で外出したり、軽い運動をしたりするなど、今の時期から少しずつ体を暑さに慣らすことが大事だ」と指摘した上で、熱めの湯船やサウナに入ることも効果的だとしています。
また、高齢者と子どもは熱中症のリスクが高く、特にこの時期は中学や高校での部活動など、入学したばかりの1年生の運動時に注意が必要だと指摘しています。
鯉淵教授は「大人とほぼ体型は変わらない子どもでも体温の調節機能はまだ十分に発達していない。特に1年生は先輩たちに追いつこうと一生懸命、同じメニューを行おうとすると熱中症になるリスクがある」と話しています。
このため、「指導者がきちんと休憩をとらせて、しっかりとクールダウンさせたり、のどが渇く前に水分補給をさせたりすることが大事だ」と呼びかけています。