JR吾妻線の赤字区間 長野原町と嬬恋村 今後あり方協議へ

年間4億円を超える赤字が課題となっていたJR吾妻線の長野原町と嬬恋村の間の一部区間について、JR東日本高崎支社と関係する自治体が今後、そのあり方について、協議を進めることになりました。

協議が進められることになったのは、渋川市と嬬恋村を結ぶJR吾妻線の区間のうち、長野原町の「長野原草津口駅」と嬬恋村の「大前駅」の間のおよそ13キロの区間です。
この区間では2022年度、乗客が、JRが発足した37年前と比べておよそ70%減少し、収支は4億6000万円あまりの赤字となっています。
このため、JR東日本高崎支社は先月、存続や廃止といった前提を置かない形で、将来の路線のあり方を協議することについて、嬬恋村と長野原町、そして、県に申し入れを行っていました。
これに対して、いずれの自治体も4日までに、協議に同意する意向を示したということで、今後、協議の場が設けられることになります。
JR東日本高崎支社は「参加の回答をいただいて弊社の趣旨を理解してもらい、率直にありがたいと考えている。今後、関係するみなさまと意見交換をさせていただきながら、具体的な調整作業に入っていきたい」とコメントしています。

JR吾妻線の大前駅は、嬬恋村役場から300メートルほどの所にある終点の駅です。
3日午後5時半ごろに出発した列車には、この駅に来た理由が「写真撮影」や「記念に」という理由で再度、乗車した乗客を除くと乗客は1人しかいませんでした。
しかし、この1人の榛東村の女性は「仕事の時に使っているので、できるだけ残してほしい。なくなると不便さが増すと思っている」と話していました。

JR吾妻線の一部区間について協議する意向を示した嬬恋村未来創造課の熊川明弘課長は「一番の希望は存続することだが、この区間の利用者の減少や経営状況は常に報告を受けている。長野原町などと足並みをそろえて協議に参加することにした」と話しています。
村が「最も影響を受ける可能性がある」として懸念しているのが、村外の高校に通う高校生についてです。
村は現在、地元のバス会社に委託して高校生15人ほどを乗せた通学用のバスを毎朝1本運行し、今後、協議に入る区間の中の万座・鹿沢口駅まで送り、高校生たちはそこから電車に乗り換え通学しています。
村は「この区間が廃止になれば、その後は隣の長野原町まで送らなければならず負担が大きくなる。若い人たちの村外への流出につながるおそれもある」と話しています。
また、長野原町は「観光客や地元の学生が使うため存続を希望するが、存続に向けてどういうことができるのか、議論したい」と話しています。
群馬県は「利用者が減る中で最適な交通体系が何かを議論する必要があるが、テーブルにつかないと始まらない。JR東日本は民間で『走り続けてほしい』と言っても難しい部分がある。地域住民にとって一番いい選択が何かを話し合い結論を出すべきだ」と話しています。