群馬県 保護司の定員大幅に下回り高齢化 担い手不足が深刻に

犯罪や非行をした人の立ち直りを支援する保護司について、県内では定員を大幅に下回り、高齢化も進んでいて、担い手不足が深刻になっています。
保護司の担い手不足は全国的な課題となっていて、法務省が現在、持続可能な制度への見直しに向けた検討を進めています。

保護司は、保護観察などを通じて刑務所や少年院を出た人の立ち直りを支援する非常勤の国家公務員ですが、実質的にボランティアで行われていて、県内では定員を大幅に下回り、高齢化も進んでいます。
このうち、前橋市では、およそ140人の定員の2割を超える30人あまりが不足し、活動する人の40%あまりを70代が占めています。
保護司の担い手不足は全国的な課題となっていて、法務省は現在、各地で活動する保護司や研究者などでつくる検討会を設置し、持続可能な制度への見直しに向けた議論を進めています。
前橋市の保護司会の金井君子副会長は「保護司の人数が減ると地域によっては1人でより多くの人の保護観察をすることになるなど負担が増える可能性があり、仕事をしながら保護司をする人にとっても支障が出てくる。担い手を確保しやすい仕組みをつくってほしい」と話していました。

保護司の担い手不足は、何がネックになっているのか。
その1つが保護司の選び方です。
現在は現役の保護司などからの推薦で選ぶことになっていますが、法務省の検討会は、地域によっては限界に達しているとして、公募制の導入を議論しています。
また、初めて保護司になる年齢も見直しの対象となっていて、原則66歳という上限の撤廃を検討しています。
一方、ボランティアではなく報酬を支払うかどうかは、制度への影響を考慮して検討するとしています。
このほか、保護司についての理解をどう広げていくかも課題で、県内の各保護司会でつくる団体は先月、活動内容などを紹介するパンフレットを初めて作成し、周知を図っています。
前橋市の保護司会の金井君子副会長は「保護観察をした人が更生して社会に復帰した時に大きなやりがいを感じる。そうした魅力が伝わり、保護司が増えていくようになってほしい」と話していました。