群馬県内の出生数 過去最少 県 引き続き結婚や子育てを支援

去年、県内で生まれた子どもの数の速報値は1万人あまりと、これまでで最も少なくなりました。
県は、出生数の改善に向けて、結婚や子育ての支援に引き続き取り組んでいくことにしています。

厚生労働省によりますと、県内で生まれた子どもの数の速報値は、去年は外国人などを含め1万771人となり、前の年を757人下回りました。
県によりますと、速報値としてはこれまでで最も少ない出生数だということです。
県内の1年間の出生数は、1947年の5万4605人がピークで、第2次ベビーブームの1973年以降は減少傾向が続いています。
また、県内の結婚の件数も去年は6413組と、前の年より470組下回り、4年連続で減少しました。
婚姻数の減少について、県は若年層の人口が少ない上に、多様な価値観が広がって未婚化や晩婚化、それに晩産化の傾向が進んでいることや経済的な理由などが背景にあるとみています。
県はイベントを通じた出会いの場づくりや、結婚や子育てをする人への生活支援など、出生数と婚姻数の改善に向けた取り組みを引き続き進めていくことにしています。

【県内の出生数の改善への取り組み】
藤岡商工会議所は出会いの場を作り、結婚を後押ししようと、16年前から婚活イベントを主催しています。
今月25日にはスポーツを一緒に楽しむことで仲を深めてもらおうと、「ボウリングイベント」が行われました。
参加したのは男女あわせておよそ30人で、年代は10代から50代までです。
当初、参加者の多くは緊張した様子でしたが、ボウリングが始まると、次第に和やかな雰囲気となり、笑顔で会話を楽しんでいました。
藤岡商工会議所によりますと、こうした婚活イベントで、これまでに67組のカップルが成立したということで、今後もイベントの開催を続けていくことにしています。
藤岡商工会議所女性会の吉村美由紀会長は「若者が出会える場が少なくなっていて、結婚がしにくくなっていると思う。ボウリングは自分らしさを出しやすいので、きょうの出会いが大切な宝となってほしい」と話していました。

出生数の改善に向け、市町村も取り組みを進めています。
このうち、渋川市では、子育て世代への支援として、5年前から市民の保育料を無償化しているほか、子育て相談についてのガイドブックを作成し、配付しています。
また、子どもの教育で不安を持つことがないように、支援を行っています。
市は、家庭の状況によって教育格差が生じないように、5年前からすべての公立の保育所や幼稚園などで英語教室を開いています。
29日も市内の保育所で園児14人が市から派遣されたイギリス人講師のレッスンを受け、英語の歌を歌ったり、さまざまな乗り物の単語を発音したりしていました。
保育所の加藤恵所長は「両親が働いていると子どもに英語を学ばせる時間の確保が難しいため保護者から好評で、子どもも抵抗感なく英語を楽しんでいます」と話していました。
渋川市こども支援課の藤井成行課長は「子育ての不安や悩みを減らしながら、子どもを持つ喜びを実感できる環境をつくり、出生数の増加につなげたい」と話していました。