「2024年問題」で物流コスト増 小売価格への影響に不安も

トラックドライバーの時間外労働の規制強化で輸送力不足が懸念される、物流の「2024年問題」が、ことし4月に迫る中、県内のスーパーからは、物流コストの増加などによる小売価格への影響を不安視する声が上がっています。

高崎市内のスーパーでは、長引く原材料価格の高騰や人件費の上昇を受けて仕入れ価格が上がっているため、ことしに入っても食品の値上げが続いています。
今月は、野菜ジュースの価格を先月より10%から20%程度上げるなどおよそ100点の食品を値上げをしたほか、来月も調味料などおよそ200点で、10%から30%程度の値上げを予定しているということです。
60代の女性の客は「年金暮らしの中でほとんどの食品が値上げされ負担が増えている。安い食材に置き換えて節約している」と話していました。
さらに、スーパーのバイヤーが不安視しているのが物流の「2024年問題」です。
ことし4月からトラックドライバーの時間外労働の規制が強化されることで輸送力の不足が懸念されるため、仕入れできる量が減って食品のさらなる値上げにつながる可能性があるとしています。
春以降、値上げが想定されるのは、四国産の果物や九州産の野菜といった群馬から距離がある産地の生鮮食品などだということです。
スーパーの青果バイヤーの大和卓哉さんは「価格の高騰が予想されるが、できるかぎり価格を抑えて販売できるように努めたい」と話していました。

物流の「2024年問題」を受けた値上げの動きについて、専門家は「消費者への価格転嫁は避けられない」としたうえで、消費者の負担を軽減するためにも賃上げの実現が重要だと指摘しています。
物流の「2024年問題」の影響について民間のシンクタンク、「群馬経済研究所」研究部の伊勢和広副部長は「物の製造や小売店への運搬にはすべて物流が関わるので、物流コストが上がれば生産や販売のコストも上がる。消費者に価格転嫁されることは避けられない」と指摘しました。
中でも、群馬と距離がある産地からの商品への影響が4月以降、徐々に見込まれるとして「群馬は海がない県なので魚は海外や国内各地の港から運んでくるしかない。これまでと同様に毎日、入荷しようとするとコストは上がる。新鮮な産地直送の魚はおいしいが、価格が上がれば、ふだんは冷凍食品の魚介類で代替するといった動きも出てくるのではないか」と消費者の動向を分析しました。
そのうえで、伊勢さんは「消費者にとっていろいろな物の値段が高い状況が続いている中で、収入が上がらなければ何かを買おうとは思えない。長期的な目線で収入を増やし生活を安定させていくという経済の流れを作る必要がある」と話し、消費者の負担を軽減するためにも賃上げの実現が重要だと指摘しています。