病院の老朽化救急車更新などクラウドファンディングで 前橋

通算で20年近く使われてきた前橋市の病院の救急車について、病院は、シートが破れるなど老朽化が進んでいる一方で、購入費用にあてる財源が不足しているとして、今月からクラウドファンディングで、その費用を募っています。

前橋市にある群馬県済生会前橋病院は「地域災害拠点病院」に指定され、災害派遣医療チーム=「DMAT」などの活動で救急車を使用しています。
病院によりますと、この救急車は4年前に前橋市消防局から譲り受け、通算で19年間使われてきたものですが、座席や搬送用のベッドが破れているためテープで補修したり、手術用の糸で縫ったりしているほか、救急車にある医療機器も更新できずに使っていない状態だということです。
また、救急患者を受け入れる病院の処置室が狭く、同時に多くの患者を処置することが難しいため改修が必要だということです。
一方で、これらにあてる財源が不足しているとして、病院は、今月から1500万円を目標にクラウドファンディングで費用を募っています。
寄付は、来月26日までの期間中、専用サイトの「READYFOR」で受け付けています。
群馬県済生会前橋病院の細内康男院長は「病院内の医療機器の更新や購入を優先させるため、救急車や処置室の改修に予算をかけられない状況がある。市民の皆様に、ぜひ協力をお願いしたい」と話していました。

クラウドファンディングを活用する動きは、県内の自治体でも広がっています。
このうち前橋市は現在、市内で保護された犬や猫の保護施設の新設にかかる費用や、物価高で影響を受けている一人親家庭への支援などで必要な費用についてクラウドファンディングで寄付を募っています。
寄付を募る理由について前橋市は、地域の課題が多岐に渡る中で財源の確保が難しく、使いみちを明確に示したうえで市民の協力を得ることにしたということです。
また、県は3年前からクラウドファンディングを活用していて、今年度は県警が山岳遭難者の捜索に使うドローンの配備や、子どもたちへのデジタル教育の支援について寄付を募ったということです。
いずれも目標額を達成できなかったということですが、県は、不足分を県の予算で補って実現させる予定です。
各自治体が掲げる政策の実現を、クラウドファンディングでの寄付に頼る背景には財政状況の厳しさがありますが、その一方で、限られた財源をどんな事業にどう振り向けていくのか、各自治体には、これまで以上の説明責任や、具体的な成果が求められていくことになります。