群馬県 早いインフルエンザ流行拡大 学級・学年閉鎖相次ぐ

例年より早いインフルエンザの流行拡大で、県内の小中学校では先月上旬から学級閉鎖や学年閉鎖が相次いでいて、現場からは「異常な状況だ」という声が上がっています。

インフルエンザの流行が例年より早く拡大する中、県内の小中学校では去年より3か月早く、過去10年間では最も早い先月5日に学級閉鎖となった学校がありました。
その後、2週間ほど前から感染者の数が急増したのに伴い学級閉鎖がさらに相次ぎ、先月から29日までの合計では、のべ192校に上ったということです。
このうち、富岡市の西小学校は、先月11日、3年生29人のうち4人がインフルエンザの診断を受けて欠席し、翌週に運動会を控えていたことから大事を取って翌日から2日間、学年閉鎖にしました。
その後は、それ以上の拡大に至っていませんでしたが、先週から近隣の中学校が学級閉鎖になったため再び危機感を強めています。
このため学校では、休み時間や給食前のこまめな手洗いや、給食を配膳する児童の検温、さらに、教室の窓を常に開けておく換気などの徹底を図っています。
若林俊作校長は「これまでの経験では3学期に流行するケースが多かったが、ことしは夏休み明けから流行したので、かなり異常な状況だった。コロナ禍の時の対策を継続するとともに、今後、欠席が続いた場合はリモートでの授業も活用するなどの対応を図っていきたい」と話していました。

例年より早いインフルエンザの流行拡大について、感染症に詳しい群馬大学大学院の内田満夫准教授は、季節が日本とは逆の南半球のオーストラリアでも例年より早く感染が拡大したことをまずあげました。
そのうえで新型コロナの5類移行を踏まえて「人の移動が活発になり日本でも流行が早くなったと考えられる。マスク着用などの対策の大幅な緩和も感染拡大の一因だ」と指摘しました。
学級閉鎖が相次ぐなど子どもの感染が広がっていることについては「免疫力は、さまざまな感染症に感染することで蓄積されていくものだが、大人に比べて子どもは免疫力の蓄積が進んでいない。学校では集団行動が多く人どうしの距離が近いので接触の機会が多く、流行が起きやすい」と説明しました。
内田准教授は今後の見通しについて、オーストラリアでことし感染者の数のピークは高くなかった一方で、長期化したことを引き合いに出し「日本でもコロナの5類移行に伴い感染対策にバラツキがある中で、一気に感染が広がって流行のピークが来るのではなく来年1月くらいまで流行が長引く可能性がある」と分析しました。
そして「能動的に免疫力を高めるためにワクチン接種や、睡眠や休養をしっかりとることなど、複合的な対策をしてほしい」と呼びかけていました。