県内山岳遭難が過去最多ペースに 県警ドローン活用へ

群馬県内でことし発生した山岳遭難は先月末までにすでに97件に達していて、過去最多のペースで増えています。
県は、遭難者のより迅速な救助につなげるため、捜索に活用するドローン5機を県警に配備することにしていて、その費用をクラウドファンディングで募っています。

群馬県警によりますと、県内で発生した山岳遭難はことし1月から先月末までに97件発生しています。
これは、これまで最も多かった5年前の同じ時期と比べて11件多く、過去最多のペースとなっています。
こうした中、県は、遭難者の迅速な捜索や救助につなげるためにドローン5機を県警に配備することにしていて、今年度の予算におよそ1100万円を計上しています。
県警はドローンを導入することで、人が立ち入ることが難しい斜面や崖などの様子を上空から確認できるほか、悪天候でヘリコプターを飛ばせない状況でも、捜索を行えるケースが出てくるとしています。
一方、費用のおよそ1100万円のうち800万円ほどを先月から来月末まで、クラウドファンディングで募っていますが、8日の午前中の時点で、寄付額は266万円ほどで目標額のおよそ3分の1にとどまっています。
山本知事は先月の記者会見で、「山岳遭難の増加に非常に強い危機感を感じている。ドローンの導入によって捜索隊員たちの2次遭難のリスクも軽減されるので寄付に協力をお願いしたい」と述べています。

群馬県内で山岳遭難の発生が過去最多のペースで増える中、警察などが登山者に呼びかけているのが登山届の提出です。
警察によりますと、ことし1月から先月末までに県内で発生した山岳遭難97件のうち、登山届が提出されていたのは27件で全体の28%ほどだということです。
登山届を提出していない場合、捜索範囲を絞ることができず、捜索や救助が難航する場合があるということで、警察は、登山口のポストや郵送、それにスマートフォンアプリなどで事前に登山届を提出するよう呼びかけています。
また、警察によりますと、遭難者を年代別にみると全体の8割余りが40代以上の中高年層となっています。
また、遭難した場所では、谷川岳と尾瀬がそれぞれ18件、続いて妙義山が10件で、警察は体力や経験にあった登山計画を立てることや、できるだけ単独ではなく複数人で登山するよう呼びかけています。