医療的ケア児のコーディネーター活動に群馬県が独自報酬支給へ

日常的に医療ケアを必要とする子どもたちへの支援の調整を担う「コーディネーター」と呼ばれる人たちの活動を推進するため、群馬県は、個別の支援計画の策定などこれまで無償で行われていた活動に対して、9月から独自に報酬を支給することを決めました。

難病や障害で人工呼吸器やたんの吸引などが欠かせない「医療的ケア児」の支援では、「コーディネーター」と呼ばれる人たちが、ケア児側から教育や福祉の要望を聞き取り、行政や医療機関などとの調整にあたっています。
県内では障害者の相談支援の専門員や訪問看護師がコーディネーターを兼務し、就園や進学時の支援をはじめとする医療や福祉のサービスを伴わない診療報酬などの対象外の活動は無償で行っていました。
こうした支援に重要な活動をさらに推進するため、県は、来月から独自に報酬を支給することを決めました。
具体的には、就園や進学時の支援計画の策定などをした場合は1家族あたり1万6600円、家庭訪問や関係機関と会議を行った場合は1回あたり8300円などを毎月、委託料として支払います。
県は、これらの経費およそ230万円を医療的ケア児などの支援事業の予算から支出することにしています。
県障害政策課は「新たな取り組みによって、医療的ケア児などに寄り添ったきめ細やかな対応を進めていきたい」と話しています。

内では「医療的ケア児」は去年10月時点で361人いて、県は、ことし6月に渋川市をはじめ県内3か所にケア児などと家族を支援するセンターを立ち上げ、サポートにあたっています。
ケア児らのサポートで重要な役割を担うのが、「コーディネーター」で、県内では現在、38人が登録されています。
ただ、コーディネーターの支援を受けられていないケア児がいるほか、支援を受けている子どもについても一部のコーディネーターに担当が集中するなど活動量に偏りが生じていて、すべての子どもが十分なサポートを受けられる体制作りが課題となっています。
このため、県は、今年度に養成講座を3年ぶりに再開して登録者を15人ほど増やすとともに、今回の報酬の支給によって積極的な活動の展開につなげていきたいとしています。