前橋空襲の防空ごう跡 再現図を8月の追悼式で公開へ

太平洋戦争末期の前橋空襲で、多くの市民が犠牲になった防空ごうの跡地からことし4月、ごうの壁などが見つかりました。
戦争の記憶を伝え継ぐため、空襲を体験した男性が見つかった壁などをもとに防空ごうの再現図を作り、8月開かれる追悼式で公開することにしています。

前橋市では終戦の10日前の昭和20年8月5日から翌日の未明にかけてアメリカ軍による空襲を受け、535人が犠牲となりました。
このうち、前橋市住吉町にあった「比刀根橋防空ごう」では、奥行き18メートルほどの半地下の場所に市民が殺到し、多くの犠牲者が出ました。
ことし4月、防空ごうがあった場所で市が配水管工事を行った際、コンクリート製の壁や階段が見つかり、近くに住む空襲体験者の原田恒弘さん(85)によって、ごうの一部と確認されました。
原田さんは戦後、空襲の語り部として活動していて、今回、現場を写真に記録するとともに、市の許可を得て壁などの一部を保管しています。
さらに、原田さんは、戦争の記憶を伝え継ぐため、壁や階段の大きさなどをもとに防空ごうの再現図を作り、来月5日に開かれる追悼式で公開することにしています。
原田さんは「当時の防空ごう内の光景は地獄のようでとてもことばにはできない。見つかった壁や階段はただの物ではなく人間が生きた証しで、二度と戦争が起きないように伝え継いでほしい」と話していました。