前橋市 遠隔監視で路線バス運行の実証実験 自動運転実用化へ
バスの運転手不足が慢性的な課題となるなか、前橋市では再来年度からの自動運転バスの実用化を目指し、遠隔監視によって路線バスを運行する実証実験が16日から始まりました。
自動運転バスの実用化に向けて前橋市は、2018年度から群馬大学や地元のバス会社などと連携して、実証実験を続けています。
そして16日からは、JR前橋駅と上毛電鉄の中央前橋駅の間のおよそ1キロの区間で、民間の路線バスを運行する実験が始まりました。
車両の内部や前後、それに車体の下には遠隔監視のためのカメラが合わせて14台取り付けられ、走行位置はGPSなどで把握する仕組みになっています。
また、運行状況は駅から6キロほど離れたバス会社の管制室から確認でき、運行に支障が生じた場合は、運転を手動に切り替えて運転席に座っている運転手がハンドルやブレーキを操作します。
バスの運転手不足が慢性的な課題になるなかで、前橋市は早ければ再来年度の実用化に向けて、今後も実験を重ねるということです。
実験に参加している日本中央バスの佐藤健二・常務取締役は「自動運転を進めることで課題の解消を期待しているし、自動運転への取り組みを知ってもらうことで、乗務員の確保にもつながるのではないかと思っている」と話していました。
自動運転バスの実用化は、運転手の担い手不足の解消や地域交通の維持にもつながると期待され、国が推し進めています。
7年前に群馬県が行った調査では、年間を通じて1度もバスを利用しない県民は85.3%にのぼり、利用客が減少するなかで、路線バスを維持していくことはバス会社の経営面で大きな課題となっています。
群馬県のまとめによりますと、県内では100メートル未満の移動にも、4人に1人が自動車を利用しているということで、県は「過度に自動車に依存した生活」と指摘しています。
この「車社会」の群馬で自動車を使えない学生や高齢者にとっては、バスや電車などの公共交通が必要不可欠な状況です。
地域交通を守る「切り札」ともなり得る車の自動運転について、国は、条件に応じてレベル1から5までの5段階に分けています。
前橋市のように運転手が補助的に乗車して一定の条件のもとでシステムに操作を任せる仕組みは「レベル2」に位置づけられていて、前橋市は、2024年度までに無人での運転が可能になる「レベル3」での運行を目指しています。
自動運転技術を研究している群馬大学の小木津武樹准教授は「旅客や物流の分野での慢性的なドライバー不足という課題に対応するうえで、自動運転システムへの期待が高まっている。安全に無人で動くシステムの実現に向けて、研究開発を進めていきたい」と話していました。