不適切保育 県内でも実態調査へ 保育士の過重負担改善も課題

静岡県内の保育園で元保育士3人が園児への暴行の疑いで逮捕された事件を受け、国は年内にも全国を対象に不適切な保育についての実態調査を行うことにしています。
これを受けて、群馬県では国からの依頼が届きしだい、市町村や各保育施設に対して調査を求めることにしています。

静岡県裾野市の認可保育園で、元保育士3人が1歳児クラスの園児に対して頭を殴ったり足を持って宙づりにしたりするなどしたとして今月、暴行の疑いで警察に逮捕されました。
不適切な保育は富山県や宮城県でも相次いで明らかになり、国は全国の自治体に通知を出し、人格を尊重しない関わり方など不適切な保育が行われていないか再点検するよう求めています。
さらに、国は年内にも、群馬県を含む全国の保育現場や自治体を対象に調査を行い、不適切な保育について実態の把握を進めることにしています。
県私学・子育て支援課は「不適切な保育を未然に防ぐための手引きなどを再確認するよう市町村や各施設に対してすでに求めているが、国からの依頼が届きしだい、速やかに調査をお願いしたい」としています。

保育の質を確保するために課題となっている1つが、過重な負担がかかっている保育士の労働環境の改善です。
高崎市にある認可保育園の「おひさま飯塚保育園」では、42人の保育士が0歳から5歳までの子ども116人の保育にあたっています。
保育士1人が受け持つ子どもの人数について国は0歳児は3人、1歳から2歳児は6人、3歳児は20人、4歳児以上は30人という「配置基準」を設けていますが、中でも4歳児を受け持つ人数はイギリスやドイツの2倍から3倍にのぼっています。
さらに、保育士らは保育だけでなく、子どもたちの昼寝の時間に保護者への日誌を書いたり、行政への報告書を作成したりするなど息つく間もなく業務に追われています。
また、この園では保育士の負担を軽減し保育の質を保つため、国や県からの補助金に加え独自に予算を組んで国の基準よりも多く人員を配置していますが、その分、1人当たりの賃金を抑えざるをえない状況だということです。
「おひさま飯塚保育園」の神戸かおり園長は「園の持ち出しによって国の基準以上の人員の配置をしているが、保育士一人一人の賃金は安くなっており、これ以上の対応を求められると保育士が辞めてしまう。現状を多くの人に知ってもらい、世論で変えてほしい」と話していました。