円安 外国人労働者 母国への送金額減少 帰国するケースも

記録的な円安の影響で、日本で働く外国人の中には母国で暮らす家族への送金額が減るなど厳しい状況に直面する人も出てきています。
このため、日本で働くことにメリットを感じず帰国するケースもあるということで、人手不足に悩む中小企業などは危機感を募らせています。

群馬県伊勢崎市の金属加工会社で働くベトナム人のヴォー・スアン・サンさん(29)は、6年前に来日し、毎月、20万円ほどの給料のうちおよそ3分の2を母国で暮らす家族に仕送りしてきました。
しかし、円がドルだけでなくベトナムの通貨のドンに対しても下落しているため、ことし1月と比べると円で同じ金額を送金しても2割ほど減ってしまいます。
このため、現在は送金をやめて、日用品や市販薬などを購入して家族に送っています。
サンさんを派遣している人材派遣会社によりますと、円安に加え、経済成長が続くベトナムとの賃金格差が縮まってきていることから日本で働くベトナム人の中には帰国するケースも出ているということです。
サンさんは「円安が続きほかの会社で働いていた友人はみんな母国に帰った。自分も帰国を考えたが、もうしばらくは頑張ってみようと思う」と話していました。
勤務先の会社の梅田剛志社長は「ベトナムの人たちは技術が高く、なくてはならない存在なので、できるかぎりの支援をしていきたい」と話していました。
派遣元の人材派遣会社の細谷美樹さんは「円安の影響で外国人労働者は日本で働くことに魅力を感じにくくなっている。日本の人口が減少する中、外国人材は重要なので待遇面などをアピールしてつなぎ止めていきたい」と話していました。