外国人観光客などの“運賃回収できず”で対応策 京都市バス

京都市バスで外国人の乗客の一部などから運賃を回収できないケースがあり、京都市交通局は、外国人に対応するための専用のシートを見直して、新たな対応をはじめました。
専門家は「バス会社だけで解決するのは限界があり、鉄道など公共交通機関全体で、お互いの乗り方の周知をしていく必要がある」と指摘しています。

京都市バスの運賃は降りるときに支払うことになっていますが、京都市交通局によりますと、一部の外国人観光客のICカードのエラーがでた時などに、運賃を回収できないケースがあるということです。
エラーがでた場合、運転手は現金での支払いを求めますが▽イヤホンを着用していて聞こえなかったり▽支払いが済んだと思い込んだりして、そのまま降車する人もいるということです。
エラーが出たことや、現金で支払うことを外国語で伝える難しさもあるため、交通局では先月(6月)から、運転手が使う外国人に対応するための専用のシートを見直して「現金で払うこと」などを求める文言を追加して対応を始めました。
シートでは、英語や中国語などの4か国語で記されていて、交通局では運賃の回収を徹底したい考えです。
京都市交通局自動車部運輸課の小寺一郎 課長は「利用者からも、支払いを完了させずに降りる人がいるなどの意見が複数届いている。乗客全員が気持ちよく利用いただけるよう、ご協力いただきたい」としています。
市バス事情に詳しい龍谷大学の井上学 教授は「ICカードのエラーは、バスに乗る前に利用した交通機関で精算ができていないことが多い。バス会社だけで解決するのは限界があり、鉄道など公共交通機関全体で、お互いの乗り方の周知をしていく必要がある」と話していました。

【運転手も バス会社も 対応に苦慮】
市バスを運転する京都市交通局の平山直人 指導運転士は「ICカードでエラーが出たときは、基本的には現金で支払ってもらいますが、クレジットカードや海外の貨幣しか持っていない人もいて、その場合は『次のバスで支払って下さい』と言って降ろすしかありません」と話していました。
また、外国語での声かけについては専用のシートを活用するものの「周りの運転手からも『英語ができない』とか、『喋っても通じず、仕方なく降りてもらう』という話は聞きますし、言葉の壁はかなり大きいと思います。英会話講習もあり上達するように頑張っていますが、それでも追いつかない部分はあります」と難しさを明らかにしました。
さらに支払いを先に行うことで、結果的に、無賃乗車になることを防ぐことができるのではないかという指摘もありますが、その際には前のドアから乗って、後ろのドアから降りるよう変更することになるとして、京都市交通局は、バス停を改修する必要があるとしています。
そして、その改修などには概算でおよそ10億円かかるということで、厳しい財政状況もあり実現は難しいとしています。