「歯」が生える薬「先天性無歯症」対象に治験開始へ

大阪の病院などからなる研究グループが、新たに歯が生える薬を開発するために、医師が主導して実際に人に投与する治験を開始すると発表し、生まれつき歯の本数が少ない「先天性無歯症」の治療につなげたいとしています。

大阪市にある医学研究所北野病院や京都大学発のベンチャー企業などの研究グループは、歯が新たに生える再生医療の薬の開発のため、医師が主導する治験を始めると発表しました。
対象となる病気は、遺伝的な要因で歯が6本以上少ない「先天性無歯症」と呼ばれるもので、国内には患者が人口の0.1%ほどいるとしています。
研究グループはこれまで、ヒトの歯の成長を抑制しているタンパク質があることを見つけ、この働きを止めることで新たな歯が生えることを動物実験で確認し、薬として応用するための研究を続けていました。
治験は京都大学医学部附属病院で今年9月に開始し、第1段階として歯が数本程度欠損している人を対象に薬を投与して安全性などを確認し、その後、実際の患者に投与して効果を調べ、6年後の実用化を目指したいとしています。
研究グループは、歯の元となる組織があれば再生できる可能性があるとしています。
医学研究所北野病院歯科口腔外科の高橋克主任部長は「この薬は今ある技術とは一線を画していて、インプラントや矯正治療だけではない新たな選択肢になることを期待している」と話していました。