京都府内9つの自治体が「消滅可能性」

民間の有識者などでつくる「人口戦略会議」は、2050年までに京都府内の9つの自治体で、20代から30代の女性が半減し最終的には消滅する可能性があるとした分析を公表しました。

有識者のグループ「人口戦略会議」は、国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとに20代から30代の女性の数、「若年女性人口」の減少率を全国の市区町村ごとに分析しました。
分析では2050年までの30年間で、府内で若年女性人口が半数以下になる自治体は9つあり、これらの自治体は、その後、人口が急減し、最終的に消滅する可能性があるとしています。
消滅の可能性がある自治体となったのは、▼宮津市、▼京丹後市、▼井手町、▼宇治田原町、▼笠置町、▼和束町、▼南山城村、▼京丹波町、それに与謝野町です。
10年前、2014年に行われた同様の分析に比べ、宇治田原町が新たに指摘されました。
一方、▼綾部市、▼城陽市、▼南丹市、▼久御山町、▼伊根町の5つが消滅の可能性がある自治体を脱却しました。
また、今回の分析では、2050年までの若年女性人口の減少率が20%未満にとどまっている、木津川市と大山崎町を「自立持続可能性自治体」と名付け「100年後も若年女性が5割近く残っており、持続可能性が高いと考えられる」としています。

【府内の自治体は】
今回、新たに消滅の可能性があると指摘された宇治田原町は「驚くとともに残念だ。人口減少対策を含めた総合計画を策定中で、移住の促進などで人口減少を食い止めていきたい」とコメントしています。
また、笠置町は女性の減少率が全国で5番目に大きい85.7%で、2050年の人口は367人、そのうち20代から30代の女性は8人と推計されました。
笠置町は「あくまで予測の一つで、悲観的に考えていない。町としては移住しやすいよう空き家バンク制度を設けたほか、子育て家庭を支援するため、給付金制度もつくっている。今後も充実させていきたい」とコメントしています。
一方、消滅の可能性がある自治体を脱却した5つの市町のうち、南丹市の西村良平市長は「若い世代向けの施策が功を奏したのかここ数年、移住者が100人を超える年もあり、人口減少が少し緩やかになっているかもしれない。しかし、依然深刻だと受け止めていて、『消滅可能性自治体』から脱却したという実感はまったくない」と話しています。
今回の分析では、京都市などの自治体は、出生率が低くほかの地域からの人口流入に依存している「ブラックホール型」と呼ばれ、出生率の向上に向けた対策が特に必要だとしています。
報告書によりますと、京都市の2020年の人口はおよそ146万人で、人口移動がある場合の2050年の推計はおよそ124万人ですが、人口移動がない場合はおよそ113万人まで落ち込むと指摘されています。
京都市は「人口の自然減少や、出生率の低下は重く受け止めている。国や府と連携して子育て環境の向上に努めたい。これまでも、近隣自治体との競争や奪い合いではない人口減少対策を取ってきている」とコメントしています。
京都市は今月(4月)から、新たに「人口戦略室」を市役所内に設けていて、人口減少対策を強化することにしています。