古今和歌集の注釈書 藤原定家の自筆の原本発見 京都

鎌倉時代を代表する歌人、藤原定家が古今和歌集についての解釈を書き込んだ注釈書「顕注密勘(けんちゅうみっかん)」の自筆の原本が京都で発見され、調査した専門家は国宝級の発見で、定家と古今和歌集の研究が進む重大な資料になるとしています。

「顕注密勘」は、鎌倉時代を代表する歌人、藤原定家が平安時代の古今和歌集の解釈を記した注釈書で、いくつもの写本の存在は知られていましたが、原本となる自筆の存在は知られていませんでした。
今回発見された「顕注密勘」は上、中、下の3冊で、定家であることを示す「八座沈老(はちざちんろう)」という署名が読み取れますが、1冊は貸し出した先で火事で失われ、改めて写したことが記されていて、定家の自筆は2冊だということです。
内容は、古今和歌集の歌について、平安時代末期の学僧が記した注釈を写させ、そこに定家がみずからの考えを付け加える形で構成されていて、定家様(ていかよう)と呼ばれる独特の書体で記され、余白が足りない場合は、紙を貼り付けて書き足しています。
京都市上京区にあり、藤原定家の子孫として代々、和歌の文化を受け継いできた冷泉家でおととし(令和4年)から行われてきた調査で、古今和歌集に関する資料100点以上が納められた箱の中で見つかったということです。
冷泉家時雨亭文庫の冷泉為人 理事長は「古今和歌集は、日本文化の象徴なので、定家の考えを知ることができる資料を見つけた意義は大きい」と話していました。
調査した京都産業大学の小林一彦 教授は、国宝級の発見だとしたうえで「定家直筆の注釈書が見つかったことは大きな驚きで、定家と古今和歌集の研究が進む重大な資料になる」と話しています。