保津川下り事故 船頭を業務上過失致死傷の疑いで書類送検

去年(令和5年)3月、亀岡市で「保津川下り」の舟が転覆し、船頭2人が死亡した事故で、警察は、直前に別の船頭が川に落下したことが事故につながったとして、この船頭を22日、業務上過失致死傷の疑いで書類送検しました。

去年3月、亀岡市の通称、保津川で、観光客と船頭あわせて29人が乗った川下りの舟が岩にぶつかって転覆し、全員が川に投げ出され、船頭の男性2人が死亡したほか、当時8歳から64歳までの乗客あわせて19人が低体温症や打撲などのけがをしました。
舟には死亡した船頭のほかにも2人の船頭が乗っていて、このうち後方にいた37歳の船頭が事故の直前に川に落下し、舟はその後、岩にぶつかっていました。
警察はこの後方にいた船頭が、十分な体勢を取らずに漫然とかじを取ったことでバランスを崩して川に落ち、操船を困難な状態にさせたとして業務上過失致死傷の疑いで22日、書類送検しました。
船頭は警察の調べに対し、「操船時の体勢やこぎ方に問題があり、重心を船内にとどめられなかった」などと容疑を認めているということです。
会社では事故後、舟の改良や安全性の高い救命胴衣の導入などの再発防止策を講じたうえで事故からおよそ4か月後(去年7月)に、運航を再開しています。

【運航会社のコメント】
船頭が書類送検されたことについて、「保津川遊船企業組合」の豊田知八代表理事は、「事故によりお客様に身体的・精神的に大きな苦痛と経済的な損害を与えてしまったことをあらためて深くおわびします。また、事故で尊い命を失った船頭2人に対し、心より冥福をお祈りするとともに、ご遺族に衷心より哀悼の意を表します」とコメントしています。
そのうえで「今回の発表を重く受け止め、これまで以上に深い反省のうえに立ち、さらなる安全運航を徹底する責任を強く自覚しています。事故を教訓に、船頭一人ひとりが安全運航の意識をさらに高め、引き続き、指導と啓発を強化します。事故を二度と起こさないよう、今後も安全対策を徹底し、信頼回復に向けて誠心誠意努力していきます」としています。

【乗客数と安全対策の現状】
運航会社によりますと、保津川下りは、去年7月の運航再開後、年末までにおよそ9万人が乗船したということです。
コロナ禍前と同じ程度まで客足は戻っていますが、ツアー会社の中には運航再開後も乗船を見合わせているところもあるということです。
会社では、事故後、▼船頭の転落を防ぐ舟の改良や、▼確実に浮く救命胴衣の導入、▼出航できる水位の基準の引き下げなどの再発防止策を講じています。
再開後はこうした対策を徹底するとともに、▼風速15メートル以上で運航休止という基準についても、基準以下でも現場の船頭が危険を感じれば運航を取りやめるなど、より安全を重視した運航を行っているとしています。