京大「吉田寮」裁判の判決受け 一部教員が大学側に声明文提出

京都大学の学生寮「吉田寮」の古い建物に住む寮生に大学が明け渡しを求めた裁判で、裁判所が大学の訴えを一部退けたことを受けて、京都大学の一部の教員が大学側に控訴を断念し、寮生と対話するよう求める声明文を提出しました。

京都大学の学生寮「吉田寮」をめぐっては、1913年に建築された建物が老朽化により地震で倒壊する危険性があるとして、大学側は寮生に明け渡しを求める訴えを起こしましたが、京都地方裁判所は今月16日、現在も寮に住む17人のうち14人について明け渡す必要がないとする判決を言い渡しました。
これを受けて、京都大学の現役の教員と元教員あわせて42人が、22日、京都大学の湊長博 学長などに対し声明文を提出し、会見を開きました。
声明文では、判決について「対話の価値や自治の価値などを認めさせた歴史的判決だったと言って過言ではない」としています。
そのうえで大学側に対し、控訴を断念することと、寮の自治会と対話を再開すること、それに耐震補強にただちに取りかかることなどを求めています。
会見に出席した京都大学大学院の細見和之 教授は「裁判で被告になった学生は5年間、裁判に対応しなければならず、研究に費やす時間が奪われました。私たち教員は、控訴するとか寮生を追い出すようなことは許さないという声をもっと作っていく必要があると思う」と話しました。
今回の声明文について、京都大学では「コメントできない」としています。
また、控訴するかどうかについては対応を検討中としています。