京都 高校生たちがえん罪や再審制度について研究 成果を発表

40年前に滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件や58年前に静岡県で一家4人が殺害された事件など、各地の裁判所で再審=裁判のやり直しに対する判断が示されています。
こうした中、京都市で、司法に関心のある高校生たちがえん罪や再審の制度について研究した成果を発表しました。

京都府立嵯峨野高校では、生徒がみずからテーマを選び、1年間かけて研究する取り組みを行っていて、8日、発表会が開かれました。
このうち、司法に関心があるという2年生4人は、再審制度の課題について発表しました。
生徒たちは、再審に関する世の中の関心や認識を調べるため、45年前(1979年)に鹿児島県で起きた殺人事件で有罪が確定した女性が無実を訴え再審を求めている「大崎事件」について弁護士に話を聞くなどしたほか、裁判所の判断を報じた記事に対するネット上のコメント142件を分析したということです。
その結果、再審制度に否定的な意見が多くみられた一方、再審と通常の裁判の三審制を混同するなど、制度が正しく理解されていない現状もみえたと報告しました。
また、校内の1年生と2年生にアンケートを行ったところ、再審と三審制の違いを「知らない」「あまり知らない」という回答が半分以上を占めたなどとして、「えん罪を身近に感じていないと推測できる」と発表していました。
再審をめぐっては、40年前に滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件や58年前に静岡県で一家4人が殺害された事件など各地の裁判所で判断が相次いでいますが、いずれも審理に長い年月がかかっているため、法律の改正が必要だという指摘も出ています。
発表した久下あすかさんは「もし自分がえん罪の被害者になったらと危機感を抱いたので、再審法改正の研究を続けたい」と話していました。
また、鈴木結香さんは「ニュースを見て再審制度に興味を持ちました。まずは制度を理解することが大切だなと感じました」と話していました。
発表を聞いた京都弁護士会所属の鴨志田祐美弁護士は「ネット上のコメント分析は高校生らしくて、法律家や当事者ではない目線で検討する姿勢に感動した」と話していました。