ALS患者嘱託殺人事件 医師“薬剤投与直前に意向確認した”

5年前(2019年)、難病のALSを患う京都市の女性を本人からの依頼で殺害したとして嘱託殺人などの罪に問われ、無罪を主張している医師の裁判で被告人質問が行われ、医師は薬剤を投与する直前に改めて女性の意向を確認したとし、「女性は文字盤を使って『死なせて』と書いていた」などと説明しました。

医師の大久保愉一被告(45)は元医師の山本直樹被告(46)とともに、5年前、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病のALSを患っていた京都市の林優里さん(当時51)から依頼を受け、薬物を投与して殺害したとして嘱託殺人などの罪に問われています。
被告は、起訴された内容を認め、弁護側は「被告の行為を処罰することは自己決定権を定める憲法に違反する」などと無罪を主張しています。
23日の被告人質問で大久保被告は、弁護側の質問に対し、直前に改めて女性の意向を確認したとしたうえで、「林さんのヘルパーに筒抜けにならないよう手帳に書いたものを見せて、きょうでなければだめなのか、親御さんには連絡しないでよいのかなどと聞いたところ、林さんはすべてを意に介さない様子で、文字盤を使って『死なせて』と書いていた」と述べました。
そのうえで「『制度ができるまで待っててね』と目の前で困っている林さんを放っておくことはどうしてもできなかった」と述べました。
一方、検察からは、当日、林さんの検査を何かしたか問われると、「血液中の酸素の値を見て、正常だった。ほかに機械を用いた検査はしていない」などと述べました。