大寒を前に 昔ながらの方法でのりを作る「寒糊炊き」 京都

20日の大寒を前に、掛け軸や巻物の修復などに使われる「古糊(ふるのり)」を仕込む「寒糊炊き(かんのりだき)」が、京都市で行われています。

京都市下京区にある創業およそ240年の老舗の表具店では、1年で最も寒さが厳しくなる大寒の時期に、昔ながらの方法でのりを作る「寒糊炊き」を行っています。
店によりますと、この時期は井戸水の雑菌が少なく、のり作りに適しているということで、はじめに小麦粉からとったでんぷんの粉を井戸水でといてやわらかくします。
このあと、職人が棒でかき混ぜながら1時間ほど火にかけると、粘りけのあるのりができあがります。
そして、作ったのりをかめに入れて温度や湿度が一定に保たれている地下の貯蔵庫で10年余り保管すると「古糊」が完成するということです。
長い時間寝かせることで、のりは適度な粘着力となり、掛け軸や巻物の修復で裏打ちを行う際、しなやかな仕上がりになるということです。
「宇佐美松鶴堂」の職人、宇佐美直孝さんは「10年後にのりを使う際、しっかりできているなと思ってもらえるように作りたいです」と話していました。
この表具店では、およそ24キロののりを炊き上げることにしています。