ALS患者嘱託殺人事件 女性の主治医“平穏に過ごしてきた”

5年前(2019年)、難病のALSを患う京都市の女性を本人からの依頼で殺害したとして嘱託殺人などの罪に問われ、無罪を主張している医師の裁判で、女性の主治医が「女性は自殺を試みる一方で日々の暮らしがあり、平穏に過ごしてきた」などと証言しました。

医師の大久保愉一被告(45)は元医師の山本直樹被告(46)とともに、5年前(2019年)、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病のALSを患っていた京都市の林優里さん(当時51)から依頼を受け、薬物を投与して殺害したとして嘱託殺人などの罪に問われています。
今月から始まった裁判員裁判で、被告は起訴された内容を認め、弁護側は「被告の行為を処罰することは自己決定権を定める憲法に違反する」などと無罪を主張しています。
17日の裁判では林さんの主治医の証人尋問が行われ、事件前の林さんの症状について、「差し迫った状況ではなく、耐えがたい体の痛みを訴えることもなかった。主治医を務めた8年間で、林さんは自殺を試みる一方で日々の暮らしがあり、平穏に過ごしてきた」などと証言しました。
このほか、17日は被告と林さんが交わしたSNSのメッセージのやりとりが証拠として採用され、被告が、▼林さんのヘルパーが部屋を空ける時間帯を尋ねたり、▼自分とのやりとりを削除するよう何度も指示したりする内容が読み上げられました。