電子部品など京都の大手メーカー 東南アジアに相次ぎ工場建設

京都の電子部品などの大手メーカーがタイなど東南アジアに相次いで工場を建設しています。
今後需要の増加が見込まれる自動車向けの電子部品の生産能力を高めるとともに、中国に生産を一極集中させないことで、政治情勢によるリスクを抑えることなどが狙いです。

このうち、長岡京市に本社がある電子部品大手の村田製作所は東南アジアのタイ北部に、電子部品を生産する工場を新たに建設し、11月から操業を始めました。
会社では1980年代からタイで工場を稼働させていますが工場の新設はおよそ3年半ぶりだということです。
中島規巨社長はNHKのインタビューに応じ、タイで生産能力を強化する背景について「車の電動化・電装化が急激に進んでいて、生産能力を増強して、需要に応えたい。タイには30年以上前から進出していて土地勘がある。従業員も真面目で安心感がある」と明かしました。
その上で、「地政学リスクの観点から、米中2つの経済圏が分離した場合でも商売を継続できる状態をつくる必要がある」と述べ、政治情勢や災害などによるリスクを分散させるため、今後も東南アジアで設備投資を進めていく考えを示しました。
また、京都市伏見区に本社がある電子部品大手の京セラは、去年11月からタイ東北部で自動車などに使われる電子部品をつくる工場を新たに稼働させています。
電子部品の工場としては最大規模です。
会社によりますと、タイには日系の自動車メーカーが多く進出していて、商品をすぐに納入できるなどのメリットもあるということで、2026年3月までにさらに1000億円規模の設備投資を行う予定です。
このほか京都市右京区に本社がある半導体大手のロームも生産拠点の分散化を進めるため来年10月の稼働を目指してマレーシアの工場に新たな施設を増設するなど、京都の大手メーカーによる東南アジアでの設備投資が加速しています。