日本映画の巨匠 小津安二郎の研究施設 来春 京都市に開設へ

日本映画の巨匠 小津安二郎監督の研究を進める学会が、台本やフィルムなどの資料を収集して研究内容を一般の人にも公開する新たな施設を来年の春、京都市に開設することになりました。
学会によりますと、映画監督個人の研究施設ができるのは、日本で初めてだということです。

「東京物語」などの名作で知られる小津安二郎監督は、戦前から戦後にかけて活躍し、「小津調」と呼ばれる独自の撮影手法や演出を確立するなど、亡くなって60年になる今も国際的に評価が高い日本映画の巨匠です。
国内の映画研究者らで作る「小津安二郎学会」は来年の春、京都市左京区に専用の研究施設を開設し、撮影に使われた当時の台本やフィルムなどを収蔵して調査を進めるほか、展示も行って、一般の人にも研究成果を公開していくことになりました。
施設は広さおよそ100平米の平屋建てで、設計は上野東照宮の授与所を手がけるなど、日本の伝統的な建築の再構築にも取り組んでいる建築家の中村拓志さんが担当し、小津監督が撮影で多用したローポジションの構図で畳の部屋がのぞける仕掛けなどを取り入れるということです。
学会によりますと、映画監督個人を研究する専門施設ができるのは、日本で初めてだということです。
「小津安二郎学会」を運営する同志社女子大学の宮本明子准教授は「小津監督の映画を初めて見るという人にも楽しんでもらえるよう資料を公開し、海外の小津ファンにも来てもらって交流する場にもしたい」と話していました。