京アニ裁判 弁護側の中間弁論 詳細

京アニ裁判 弁護側の中間弁論 詳細

弁護側は「被告は重度の妄想性障害だった」としたうえで「検察が依頼した医師の精神鑑定は、信頼することはできない」とし責任能力はないと主張しました。

その理由について弁護側は「被告が話す『闇の組織のナンバー2』に対する情報が欠けている。ナンバー2の妄想は、被告の精神世界や現実を大きく支配しているが、その妄想が抜け落ちている」と述べました。
具体的なエピソードとして、弁護側は「事件の4か月前にナンバー2からスマートフォンを操られたため解約したというのはとても重要で、被告にとって当時、インターネットは現実世界との大きな接点だったが、それを解約するというのは、妄想が影響していたという何よりの証拠だ」と述べました。
ほかにも「闇の組織に目を付けられているとか、警察の公安に監視されているといったものも妄想に関連している。被告の妄想が現実の行動に影響しているのは明らかで、これを除外した検察が依頼した医師の鑑定を信頼することはできない」と主張しました。
そのうえで、責任能力の有無を判断する3つのポイントを挙げました。
▼1つめは、事件を起こすことをためらったことと、善悪の区別ができることは同じではないこと。
▼2つめは、妄想の内容が直接事件を起こすことを命じるものでなくても、妄想の圧倒的な影響で事件を起こすことはありえること。
▼3つめは、「今はやりすぎた」と思っていることと、事件当時に責任能力があったことは同じではないこと。
こうしたことを踏まえて、被告が置かれていた状況を具体的に検討して評価すべきとしました。
そして弁護側は「京アニ大賞に落選したという現実の出来事だけで、事件にはつながらない。現実の生活困窮や性格傾向も10年以上、訂正不能の妄想の世界で翻弄され、苦しみ続けてきた。被告は、自分がやろうとしていることがやってはいけないことと認識し、思いとどまる力がなかった」として責任能力はなかったと結論づけました。