中国からの団体旅行3年半ぶりに解禁 関係者の期待と不安

中国から日本への団体旅行がおよそ3年半ぶりに解禁され、18日、その第一陣が関西空港に到着しました。
京都の関係者からは、期待と不安の声が聞かれました。

中国政府は新型コロナの感染対策で3年前・2020年の1月から団体旅行を禁止していましたが、ことしから段階的に再開し、8月10日に、日本や韓国などへの団体旅行を解禁しました。
そして18日夜に、解禁後の団体旅行の第一陣となる旅客機が、中国南部の広州から関西空港に到着しました。
到着した中国人旅行客は、「大阪、京都、神戸を回ります。牛肉や寿司などおいしい日本食を楽しみたいです」とか、「日本は初めてでずっと楽しみにしていました。コロナ禍が長かったですが、これからはさらにたくさんの中国人が日本に来ると思います」などと話していました。
企画した旅行会社によりますと、中国では9月末から大型連休が控えていて、日本への団体旅行の問い合わせが急増しているということです。

【観光地は】
京都府内有数の観光地「嵐山」の商店街では、売り上げの回復に期待しつつも、周辺の歩道が混雑し、事故が起きることへの警戒を強めています。
京都市右京区の嵐山商店街で竹細工を扱う土産店では、新型コロナウイルスの影響によって落ち込んだ売り上げを取り戻せるのではないかと期待しています。
このため店では、今後、中国の観光客に人気だという招き猫のイラストの入った商品を増やしたり、商品を紹介するポップを中国語で表記したりすることにしています。
一方、商店街では観光客の増加によって歩道から車道へ人がはみ出し、事故が起きることを警戒しています。
歩道の混雑はコロナの拡大前から課題となっていましたが、対策が追いついていません。
このため来週から、警察の協力のもと、付近に設置されているスピーカーから英語と中国、それに韓国語で▼歩道から車道に出ないことや▼横断歩道を渡ることなどを、呼びかけることにしています。
土産店の店主で商店街の会長も務める石川恵介さんは、「商店街はコロナで大変な思いをしてきたので、中国の団体客には期待している。一方で、混雑して事故が起きれば危険な観光地と言われかねない」と話していました。

【宿泊関係者は】
京都市左京区にある旅館は、宿泊は個人の旅行客が中心ですが、併設するレストランや宴会場では新型コロナ【の影響が出る前まで、中国からの団体客を受け入れていました。
ことしに入り、海外からの旅行者も増えていることから、宿泊者数はコロナ前の水準まで戻りつつありますが、レストランや宴会場の利用は7割から8割ほどにとどまっています。
中国からの観光客には、食事や部屋の質にこだわり高い金額を支払う人もいるということで、中国からの団体旅行が本格的に始まれば、売り上げがコロナ前の水準に回復するのではないかと期待しています。
一方、人手不足が深刻化していて、宴会が増えることで、対応する従業員をどこまで確保できるかなど懸念もあるということです。
旅館のおかみ中西裕子さんは「コロナで減った売り上げがようやく戻りつつある中、観光客が増えるのはとてもありがたいです。今回の解禁が、日本のことを海外の人にさらに知ってもらうきっかけになってほしいです」と話しています。

【寺社仏閣では】
京都を代表する神社の一つ、八坂神社では参拝者の増加を歓迎する一方、マナーの向上を呼びかけています。
京都市東山区にある八坂神社は、国宝の本殿や7月に行われる祇園祭で知られるほか、周辺に清水寺などがあることから、連日多くの観光客が訪れます。
八坂神社の東條貴史権禰宜は「多くの人に参拝いただくのはありがたいことです。過去には立ち入り禁止の場所に入ってしまう人もいたので、マナーを守って参拝してほしいです」と話しています。

【知事は】
京都府の西脇知事は、18日に開かれた記者会見で、中国人の団体旅行が解禁され大幅に観光客が増加する可能性があることについて、「地域も観光客もともに、満足度が高い観光を模索していくべきだと思っている。より周遊を促すような観光地づくりをするとか、情報発信をすることで、時間や季節でもできるだけ分散するようしていきたい」と述べました。