京アニ放火事件 亡くなった木上益治さんの絵本がアニメ化に

「京都アニメーション」のスタジオが放火された事件から4年となり、亡くなったアニメーターの1人、木上益治さんが生前に描いた絵本がかつての同僚たちによってアニメ化されることになり、ことし中の完成を目指して、制作が進められています。

アニメーターの木上益治さんは、「AKIRA」や「火垂るの墓」など数々の名作に関わり、高い画力で制作の要として京都アニメーションで活躍していた当時、61歳で亡くなりました。
木上さんは20代のときに子どもの魔法使いが、自分の心の弱さと向き合いながら成長していく「小さなジャムとゴブリンのオップ」という絵本を描いています。
事件から4年たち、絵本のアニメ化に向けた準備が進んでいて、この日、都内にあるアニメの制作会社に木上さんの元同僚や作品に共感したアニメーターたちが集まり、打ち合わせを行いました。
ことし中に15分ほどの長さの作品を完成させる予定だということです。
アニメ化は、中国のIT企業が募集した文化や芸術関係のコンペティションで企画書が選ばれたことから実現したということで、公開は、この企業のウェブサイトで予定されているほか、制作チームでは、いずれは国内でも上映会などを開きたいとしています。
木上さんの元同僚で、作品の監督を務める本多敏行さんは「この絵本には、ほかの人を思いやる心や、自分と違う存在を排除せずにむしろ近づいて仲よくしようとする姿勢が描かれている。こうした木上さんのメッセージを伝えられる作品にしたいし、今の時代にすごく必要ではないか」と話していました。