新型コロナ「5類」に移行 今後何がどう変わる

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行したことについて、重症患者を受け入れてきた京都府立医科大学附属病院の佐和貞治 病院長は、8日NHKの取材に応じ、「いつまでも新型コロナによって日常生活が制限されることは、非常に悪影響が高いと思う。その一方で、5類になったからといって、突然ウイルスがなくなるとか、無毒化する訳ではない。感染予防策として続けた方がいいことと、ある程度元の生活に戻していくことを今後、見極めながら決めていかないといけない」と話し、一部の対策は続ける必要があるとの認識を示しました。

また、現在の感染状況については、「4月から大型連休までの経過で見ると、これからコロナの感染が再び増えていく第9波の入り口のところなのか見極めは難しい。大型連休の期間中は人出が多かったと思うので、今後1〜2週間ぐらいでどのような変化が出てくるのか見守りたい」として、今後の状況を注視してく考えを示しました。
さらに、今後一人一人や職場などで求められることについては、佐和病院長は、「外では必ずしもマスクは必要ではないと思うが、密な状況で換気も悪いとことでは自分を守るためにマスクをつける必要はある。また、感染したと思ったら引き続き人にうつさないための努力も必要で、出勤を控えるなどの対応が必要になってくる」として、自己管理をしたうえで感染を広げないという意識をもってほしいと呼びかけています。

【地域の診療所の備えは】
また地域の診療所では、万一に備えて軽症でもリスクのある患者については、入院先をいちはやく確保しておこうという動きも出てきています。
京都市右京区にある診療所では、8日から待合室のパーティションを外して診察にあたっているほか、率先して入院先を確保する取り組みを始めました。
5類移行を受けて8日からは、比較的、症状が軽いと診断された患者が入院する場合は、診断した診療所などのかかりつけの医師が入院先を探すことになりました。
ただ、ほかの患者を診療しながら、かかりつけ医が入院先を探すのは、手間と時間がかかることから、右京区では地域の医師会が入院設備のある区内の2つの病院と連携し、万一の際にはすぐさま入院できる体制を取ることにしました。
新型コロナはインフルエンザに比べて容体が急変しやすいことから、軽症と診断しても1人暮らしで基礎疾患がある高齢者など、リスクが高い患者についてはあらかじめ、入院先を確保しておくことが必要だと判断したということです。
診療所の医師で、右京医師会の会長をつとめる寺村和久医師は、「開業医としては、自分の患者は、自分がしっかり診ていくということになるが、療養している自宅に往診に行けない時間帯や場合もあるのでリスクのある患者は軽症でも入院できるような体制を整えることも必要だ」と話していました。
【京都市内では】
新型コロナが5類に移行したことについて、京都市内ではさまざまな声が聞かれました。
京都市中京区の70代の男性は、「まだ完全に終息したわけではないので、5類に移行してよかったのか判断できませんが、引き続き予防対策をして自分自身の身を守っていきたい」と話していました。
京都市東山区の20代の女子大学生は、「遊ぶときでもマスクをして消毒をするという感染対策が日常になってしまった。5類に移行したがこれからも対策は続けていくと思う」と話しました。
久御山町の20代の会社員の男性は、「会社からはマスクつけなくていいといわれているが、社内では気をつかってつけている人が多い。仲間とのバーベキューなどコロナの前の生活に早く戻りたい。5類への移行による医療費の自己負担はしかたがないと思う」と話していました。

【今後の相談窓口は】
京都府と京都市は、発熱があったり、後遺症の可能性があったりする場合の相談を受け付ける相談窓口を「きょうと新型コロナ医療相談センター」に一本化しました。
電話番号は075ー414−5487で、土日や祝日も含め、24時間対応することにしています。
症状が悪化した時の相談窓口は、
▼「京都府療養者相談ダイヤル」、
075−708−7159、
▼「京都市療養者相談ダイヤル」、
050−3614−9575で、
いずれも24時間対応することになっています。