京都の六斎念仏など 「風流踊」がユネスコ無形文化遺産に登録
ユネスコは日本時間の11月30日夜、京都の六斎念仏など、各地で伝承されてきたお囃子にあわせて踊る日本の民俗芸能「風流踊」を無形文化遺産に登録することを決めました。
北アフリカのモロッコで開かれているユネスコ=国連教育科学文化機関の政府間委員会は、日本時間の11月30日夜、日本が提案した盆踊りなど、お囃子にあわせて踊る民俗芸能「風流踊」について審議し、無形文化遺産への登録が全会一致で決まりました。
登録が決まった「風流踊」は、24都府県のあわせて41件の伝統行事をまとめたもので、京都市の3件が含まれています。
【京都の六斎念仏】
ユネスコの無形文化遺産への登録が決まった「風流踊」のうち、「京都の六斎念仏」は、京都市内の15の地区で受け継がれてきました。
地区ごとにさまざまな種類があり、念仏を唱えながら動くものや、能楽や歌舞伎、それに祇園囃子の要素を取り入れたものなどがあります。
起源についてもさまざまな説があり、平安時代の僧侶、空也が京都の街でかねをたたきながら念仏を唱えたことがきっかけだとする説もあります。
六斎念仏を伝える団体の1つ、「中堂寺六斎会」代表で、京都六斎念仏保存団体連合会の会長を務める秋田吉博さんは、地域でおよそ70年にわたって六斎念仏を続けるとともに、小学校で子どもたちに指導するなど民俗芸能の継承に取り組んできました。
登録決定について秋田会長は「何とか継承していこうという使命感でやってきてきました。今後は後継者の育成が最大の課題になってくるので、登録はこれから取り組む若い人たちの励みになったという意味で喜んでいます」と話しています。
【やすらい花】
ユネスコの無形文化遺産への登録が決まった「風流踊」のうち、「やすらい花」は、京都市内の4つの地区で受け継がれてきました。
平安時代に始まったとされ、春の季節に花を飾った大きな傘とともに、赤や黒の毛のようなかつらをかぶった人たちが鬼にふんして、かねや太鼓をたたきながら地域を回ります。
やすらい踊保存団体連合会の会長で、京都市北区の玄武神社に伝わる「玄武やすらい踊保存会」の代表も務める椙本貴子さんは、およそ10年にわたってやすらい花の活動を支援してきました。
登録決定について「やすらい花は、人々の無病息災を願う行事です。これからも、次世代につなげていきたい」と話しています。
【久多の花笠踊】
ユネスコの無形文化遺産への登録が決まった「風流踊」のうち、「久多の花笠踊(はながさおどり)」は、京都市左京区の久多地区で受け継がれてきたもので、毎年8月24日の夜に行われます。
起源はわかっていませんが、美しい造花で飾った花笠灯籠を持ち、太鼓にあわせて歌い踊るもので、16世紀ごろの風流踊の様子をうかがわせるものだとされています。
久多花笠踊保存会の河原康博 会長は「派手ではありませんが、地域住民の絆として継承し続けてきました。今後は、高齢化や人口減少の課題を克服しつつ、世界の風流踊として末永く子孫へ伝承したい」とコメントしています。