「熱中症特別警戒のクーリングシェルター」指定 県内は2市町

熱中症で毎年、多くの人が病院に搬送されるなか、過去例のない暑さが予想される場合に、これまでより一段階高い警戒を呼びかける「熱中症特別警戒アラート」の運用が、24日から始まりました。
自治体は冷房が効いた公共施設などを「クーリングシェルター」としてあらかじめ指定し、発表された場合に開放することが求められていますが、県内でシェルターを指定しているのは、天草市と苓北町の2つにとどまっていることがわかりました。

環境省と気象庁は、温度や湿度などを元に推計した暑さ指数の予測値を使い、「熱中症警戒アラート」を出していますが、ことしから一段階高い情報「熱中症特別警戒アラート」を発表することになり、24日から運用が始まりました。

従来の「警戒アラート」は、暑さ指数の予測値が県内の観測地点のうち1か所でも33以上になった場合に発表していましたが、「特別警戒アラート」は県内すべての観測地点で35以上となった場合に発表します。

自治体は、暑さから退避するため冷房が効いた公共施設などを「クーリングシェルター」としてあらかじめ指定し、この情報が発表された場合には、一般に開放することが求められています。

このシェルターの指定状況についてNHKが県内に45あるすべての市町村に取材したところ、「すでに指定している」と回答した自治体は天草市と苓北町の2つにとどまっていました。

指定されているのは、いずれも地域の公民館やコミュニティーセンターなどで、天草市が76か所、苓北町が9か所となっています。

また、多くの自治体からは「検討している」「今後指定する予定だ」と準備を進めているという回答が寄せられた一方、「認識していなかった」というところもあり、自治体による対応の差が浮き彫りとなりました。

国は、民間の施設も含めたシェルターの指定を呼びかけていくとしています。

【指定の準備を進めている熊本市は】
「クーリングシェルター」の指定に向けた準備を進めている熊本市は、去年8月、暑さをしのいでもらうための取り組みとして、区役所や公民館、まちづくりセンターといった公共施設のほか、催事場や物産館などあわせて26か所を「涼みどころ」として利用できるようにしました。

このうちの1つが、熊本市中央区の「五福公民館」です。

この施設では去年、冷房が効いた1階部分を開放し、立ち寄って涼をとれるようにしました。

市はこうした施設などを「クーリングシェルター」に指定し、収容人数などをまとめた上で来月中を目標に、あらためてホームページで公表することにしています。

また、これらの施設では夏場はふだんから冷房が効いているため、市では「暑い」と感じたときには気軽に立ち寄って休むよう、呼びかけています。

熊本市健康づくり推進課の和田光司主査は「1人でも多くの方を熱中症から守るために、これから民間の事業者にも広く協力を呼びかけていきたい。アラートが出ているかどうかに関係なく、『暑い』と感じたら近くの施設で気軽に涼んでほしい」と話していました。