菊陽町 交通渋滞の状況調査始まる TSMC進出で悪化懸念

台湾の半導体大手、TSMCの進出で、交通渋滞の悪化が懸念されている熊本県菊陽町で渋滞の状況を把握するための町の調査が22日から始まりました。

菊陽町や周辺の地域では、朝夕の通勤時間帯を中心に交通渋滞が課題となっていて、年内に予定されているTSMCの第1工場の本格稼働などでさらに悪化することが懸念されています。

こうした渋滞の状況を把握し、対策につなげていこうと、菊陽町では22日朝7時から、町の職員が7か所の地点で、調査を行いました。

このうち、TSMCの工場に近い県道沿いの交差点では、職員が交差点から伸びる車列の長さや右折する車の台数を15分間隔で計測したり、渋滞の状況を撮影したりしていました。

町では、調査を22日と23日の2日間、朝と夕方の通勤時間帯に行い、今月中にも結果をとりまとめることにしています。

菊陽町建設課の三船潤治係長は、「ことし2月にTSMCの工場が開所したことなどによる影響を把握するとともに、今後の対策や道路計画の基礎資料として活用していきたい」と話していました。

町内に住む19歳の女性は、「車よりも自転車や歩行者の方が早いと感じるほど、このあたりはすごく渋滞します。渋滞によって車の抜け道として使われる道路も増えたと思うので、早急に対策してほしいです」と話していました。

また、84歳の男性は、「通勤ラッシュの時間帯だけでなく、朝昼晩と渋滞がひどいです。TSMCの進出にともない交通量も増えたので、住民たちで町にも対策を要望しています」と話していました。

【熊本市は三大都市圏除く全国の政令市で渋滞か所数が最多】

国土交通省などが去年行った調査では、熊本市は三大都市圏を除く全国の政令市のなかで交通渋滞のか所数が最も多く全国ワースト1位です。

国土交通省や熊本県は、平均速度で時速20キロ未満が続くことや、2回以上信号待ちとなることなどを基準に主要な渋滞か所を毎年調査していて、昨年は283か所でした。

この調査とは別に、国土交通省などは全国の政令市の主要な渋滞のか所数も取りまとめていて、それによりますと昨年、熊本市は177か所でした。

三大都市圏を除く18の政令市のなかで最も多く、全国でワースト1位です。

このうち、国道と県道が交わる熊本市中心部の中央区・水道町交差点では、朝夕を中心に激しい渋滞がおき、これが慢性化しています。

渋滞か所数の多い順は熊本市に次いで横浜市が127か所で熊本市の3分の2ほどです。

また、国土交通省などは、令和元年に、主要な空港からその県の主要な駅までの所要時間も調べていて、熊本県は熊本駅から熊本空港が53分でした。

これは、調査した県のなかで最も時間がかかるという結果です。

国土交通省熊本河川国道事務所は「熊本県は公共交通の利用が少ない一方、自家用車の利用が多く渋滞が発生しやすい。公共交通の利用を促したり道路の整備を進めたい」としています。

その上で、「TSMCなどの半導体関連企業の進出で渋滞が悪化しており、時差出勤の実施や、通勤時間帯のバスの運行などを行って、渋滞解消に取り組みたい」と話しています。