川辺川に建設予定の流水型ダムとは

川辺川に建設予定の流水型ダムとは

球磨川の治水対策として、支流の川辺川に建設が予定されている流水型ダムは、高さが100メートルあまり、幅が262メートル、総貯水容量はおよそ1億3000万トンで、治水専用のダムでは国内最大の規模です。

流水型ダムは、大雨の時以外は水をためず、そのまま流す構造で、「穴あきダム」とも呼ばれ、環境への負荷が比較的小さいとされています。

国は、川辺川での流水型ダムについて、平常時に川の水が流れる場所に3つの穴を設け、ふだんはこれらの穴を開放し、可能な限り、自然の流れを維持するとしていて、大雨の時は3つの穴を閉めて水をため、ピークが過ぎたのち、放流する運用を見込んでいます。

このダムの貯水時、ダムが建設される相良村に隣接する五木村では、村内の一部が貯水時に水没すると想定されています。

ダムの効果をめぐっては、国は、令和2年7月の豪雨を受けて行った検証で、川辺川ダムが建設されていれば、人吉市周辺の浸水範囲を6割ほど減らせたなどとした結果を公表しています。

一方、被災した流域の住民の中には、ダムの効果は川辺川の上流に大雨が降った場合に限られるほか、想定以上の大雨が降れば、「緊急放流」が行われることになり、下流域が増水して、より危険な状態になる可能性もあるなどとした反対の声が依然残っています。