川辺川に建設予定の流水型ダム 五木村長が建設受け入れを表明

熊本県を流れる球磨川の治水対策として、支流の川辺川に国が建設する予定の流水型ダムについて、一部が水没すると想定されている五木村で住民を対象とした集会が開かれ、木下丈二村長は建設を受け入れる考えを表明しました。

熊本県を流れる球磨川は、令和2年7月に発生した記録的な豪雨によって氾濫し、流域に大きな被害が出ました。

これを受けて、熊本県の蒲島前知事は、かつての川辺川ダムの計画を白紙撤回したみずからの方針を転換し、環境に配慮した流水型ダムの建設を国に求める考えを表明しました。

国は、流域の市町村にダムの説明を行うなど、建設に向けた動きを進めてきました。

ダムによって一部が水没すると想定されている五木村は、建設に対する賛否の判断を示してきませんでした。

五木村では21日、住民を対象とした集会が開かれ、木下村長が「流水型ダムを前提とした村づくりに向けて、新たなスタートラインに立つべきと判断した」と述べて、建設を受け入れる考えを表明しました。

これに対して、住民からは「振興策が付くのならば賛成する」といった意見があがった一方、「ダムを前提としない村づくりはできないのか。もっと住民同士でしっかりと話をする機会を作るべきだ」など反対する意見も出ていました。

流水型ダムの建設をめぐっては、工事の実施やダムの供用開始に伴う水環境や生態系などの影響について、国がレポートを作成し、住民や知事などの意見書の提出が終わっています。

計画発表から50年以上が経過したダムは、着工へ一歩進んだ形ですが、住民の間には依然としてさまざまな意見が残っています。

【木村知事のコメント】

五木村の木下村長がダムの建設を受け入れる考えを表明したことについて、熊本県の木村知事は「五木村を含む、流域の皆様のご理解が深まるよう、国と連携して取り組むとともに、五木村の振興については、村の皆様のご意見をしっかりと受け止め、振興を目に見える形でスピード感をもって進めて参ります」とコメントしています。