県の旅行支援事業の助成金 調査委「不適切な受給認められず」

熊本県の旅行支援事業の助成金について、旅行会社による不適切受給の疑いなどを調査した第三者による調査委員会は11日、旅行業法に抵触する不適切な受給は認められなかったなどとする調査結果をまとめた報告書を県に提出しました。

新型コロナの経済対策として県が行った旅行支援事業をめぐっては、関係者が報道各社に外部通報を行い、旅行会社による助成金の不適切な受給や、こうした行為を見逃すよう県の幹部が部下に指示した疑いがあると指摘しました。

これを受けて、去年10月、県が第三者による調査委員会を設置し委員会は半年にわたって調査を進めて、11日、結果をまとめた報告書を蒲島知事に提出しました。

調査委員会は、およそ半年にわたって関係者15人にあわせて17回の聞き取りを行い、調査結果として71ページになる報告書をまとめました。

その報告書では、旅行会社による旅行業法に抵触するなどの不適切な受給はなかったとしています。

また、県の幹部による見逃しの指示があったかどうかについては、県の幹部が担当者に対して助成金を受給するための要件など、県が旅行会社に示した制度を整理するよう指示した発言が、趣旨の異なる伝わり方をしてしまったとして、見逃しの指示とは認められないと結論づけました。

さらに、県民の損害もなかったとしています。

一方、報告書では県の対応の問題点を指摘していて、旅行支援事業の助成要件が明確に定められておらず、旅行会社にも十分な説明がなされていなかったことや、県の担当者や幹部の間で、正確性を欠く報告書の作成や報告、伝達が行われ、関係者の間で理解にそごが生じたとしています。

こうしたことから、報告書は県の今後の対応について提言を行っていて、重要なことを決める際には決定事項を書面化し、検証できる体制づくりを行うことや、疑義が生じた場合には、制度設計や周知方法に問題が無かったか見直す姿勢を持つこと、名前を公表された旅行会社の名誉を回復する措置をとることなどを求めています。

会見を行った、弁護士で第三者委員会の渡辺絵美委員長代理は「新型コロナで観光業が苦境に陥っていることで、十分な制度を作る時間がなかったことは致し方ないが、疑義が生じた時に制度設計や周知方法に問題がなかったか、県は検証すべきだった」と話しました。

一方、調査委員会が県に提出した報告書について、外部通報を行った関係者の代理人弁護士は「第三者委員会の結論の根拠とされている前提事実の認定に、誤りがあると考えています」とコメントしています。